「おばあちゃんちのにおいがする」
実家の母が作ってくれ、自宅に持ち帰った常備菜を前に娘が発した一言。
おかずから誰かを想うなんて。子どもの感性の豊かさに驚く。
きんぴらごぼう/筑前煮/レンコンのごま油炒め
これら三品。どれも茶色で華やかとは言えない。
けれどご飯が進み、何より体が喜ぶ味。
母が作るハンバーグやちらし寿司、春巻きなどハレの日のいずれのメニューも大好きだが
こうした茶色のおかずに私は育てられた。
かつて新潟の祖母(母にとっては義母)が私たち家族に人数分以上の食材を送ってくれた。
母は突然手にした幸を無駄にすることなく手をかけ、ごちそうに。
今回は祖母に変わり伯母が野菜を大量に。
それらを前に粛々と台所に立つ母。
私は沢山の先輩女性の愛情で育ってきた。
千切りの細さが真似できないきんぴらごぼう
干し椎茸の味が決めての筑前煮
歯ごたえがたまらないレンコン炒め
作る過程を改めて隣で見たが、材料や味付けは至ってシンプル。
一方で材料を切り、調理していく過程は非常に丁寧。いつかは習得したい母の技。
休みなしの料理から逃げたくなる日は多く、気がつくとまた食後の食器洗い。
しかしこれが命のバトンを繋いでいくことになるのだとも気がつかされた茶色の三品。
育ち盛りの娘は私を見ると「お腹空いた~」を連呼する日々。
そんな彼女が食後に「もうちょっと年をとったら、私たちがお世話する番だよね」と。
いつの間にか祖父母をそんな風に想えるようになっていたとは。
心も体も健やかに育まれるように私にできること、それはやっぱり毎日の食事作りなのだろう。
田久保さん
命のバトンを繋いでいくこと。文章の中にぎゅうっと大切なことが沢山詰まっていて、感動しました。
きんぴら立派です。私そんなに細くできま〜ん!
田端さん、いつもあたたかいメッセージをありがとうございます。『汁だくの筑前煮』を娘さんと作られるお姿憧れます。スイーツ作りもいつかしてみたい。こうして宿題をすることで夢を描くこともできるのですね!
きんぴらコメント、母喜びます!!