お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

宮沢賢治と温泉とビール

先日、お母さん業界新聞社横にある広場で開催したイベント「えほん箱パーティー」には、約800人の親子が集まってくれた。強風のため一時は中止も考えたが、会場は、風ニモマケズに絵本を楽しむ親子であふれ、「絵本の力」「場の力」を実感することとなった。

そしてその日から、なぜか机上にある絵本『雨ニモマケズ』(宮沢賢治の絵本シリーズ/ミキハウス)が私の心のよりどころとなり、毎時毎分、宮沢賢治さんの言葉と柚木沙弥郎さんの絵が迫ってくる。

最後のページにある、賢治さんの実弟の孫・和樹さんの言葉にとどめを刺された。

「東ニ病気ノコドモアレバ行ッテ看病シテヤリ、西ニツカレタ母アレバ行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ…」の、「行ッテ」が特に大事だと。とにかく行動しなければ、意味がない。つまり行動こそ「行ッテ」なのだと。

そういえば、最近あまり行動していない私。やる前から、やっても意味がないとか無駄だとか、文句ばかり。これも年のせい? いや、年のせいにしてはいけない。

昔は、考える以前に即、行動。今なら怖くて絶対にできそうにないことも、平気でやってのけた。もちろん、意味があるとかないとかも考えず。当然、お金になったことなど一度もない。けど、とにかくやりたかったし、楽しかった。

「行ッテ」と言えば、スタッフの植地が以前から、「移動編集部として全国を車で回りたい」と言っていた。

確かにわが編集部、6日間でヨーロッパ8か国を車で旅した青柳を筆頭に、植地、宇賀、池田、安達と、いずれも優秀なドライバー揃い。田村に至ってはバスの運転までできるというから、もう怖いものなしだ。

全国の神社仏閣と地ビール、温泉巡りもいい。移動しながら編集会議もできるし、悪くない。車にどっさりと新聞を積んで日本中を走る。お母さんたちにはインスタで編集部の位置を伝えよう。

「待っているよ」と声がかかったらその町へ。着いたらサッとテーブルを出して、集まってくれたお母さんたちと即興折々おしゃべり会。時にはミニ講演会もいい。

あら、気づいたらたくさん絵本も積んである。これは宇賀の仕業。全国で「えほん箱パーティー」もいいかも。まさか、みそまるまでは載せないよね。

南ニ悩ム母アレバ行ッテ大丈夫ト言イ、北ニ夢アル母アレバ行ッテ共ニカンパイスル。一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ…。

いや、それではちょっと物足りない。温泉とビールも必須。そこだけは譲れません、賢治さん!  (藤本裕子)