お母さん大学との出会いは6年前。元久留米市職員などの視点から、福岡支局の活動についてアドバイスしてもらえないかと相談されたことがきっかけだ。
当初、「お母さん」という言葉に違和感を感じた。ジェンダーバイアスを助長する、男女役割分担意識の固定化を促すのではと懸念を抱いていたが、新聞を読むと、それは固定概念を押し付けるものではなく、母親の視点を通じて社会の変化や課題、多様な側面を伝える重要なメディアだと気づいた。
以来、毎月マーカーをしたり、付箋を貼りながらじっくりと読み、多くの学びを得ている。
① 素直で面白いいまどきのお父さんを知る
表紙の「育児アップUPお父さん」には、さまざまな父親像が紹介されている。1月号では新しい家族の形を築く2人のお父さんが登場。
昨年10月号では上司のすすめもあり育休を取得した父親の「こんな素晴らしい経験はない」という感動の声があった。子育てへの関わりを通じて、男性の意識が変わる様子がリアルに伝わる内容だ。
②リアルが詰まった「母ゴコロ横丁」から学ぶ
お母さんたちの赤裸々な体験談が満載で読み応えがある。育児が戦場のような日々であること、お父さんへのイライラ、仕事と育児の両立の難しさなど生の声が伝わってくる。
さらに記事を通じてお母さんの成長も感じられる。独身時代は自分のことだけを考えていた人も、子どもを持った瞬間から全力で子育てに向き合う。
研修なしで「母親」という役割を担い、即実践で育児をこなす。人を愛し、育てる経験の中で、お母さんは驚くほどのスキルを身につける。自分以外の存在を第一に考え、判断し、行動する能力は、社会ではなかなか得られないものだ。
先を読む力、想像力、洞察力…企業がこうした経験を活かし、柔軟な働き方を提供すれば、人材不足の解決にもつながるだろう。
③ 新聞から見えてくる社会課題に向き合おう
父親の育休制度が整備され、育児に関わる男性は増えているが、まだ十分ではない。子育てに関わらないと、夫婦の時間の使い方が違いすぎて会話が噛み合わなくなることも。
お母さん業界新聞を読むと、育児が男性の価値観をどう変え、社会全体の豊かさにどうつながるかがよくわかる。
お母さん業界新聞は、母親が育児で培った知恵や経験を社会に広げていくメディアだ。お母さんたちの生の声には子育ての現場を良くするヒントが詰まっている。企業や行政がこの視点を活かせば、より良い社会を築くための新たな可能性が開けるだろう。
(文・池田彩)

コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。