お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

8月6日はなんの日?

「今日はなんの日?」

託児所の子どもたちが布団に横になり、おやすみなさいを言う前に、ふと聞いてみたくなった。

小学生1年と3年の子が来ていたので、出校日だったはずだし、平和授業をしたと思ったから答えられるかと思った。

「出校日!」

「そうね。で、なんの話があった?」

「行ってないからわからない」

「ふたりとも行ってないの?!え??1年の時も2年の時も行かなかった?」

「行ったよ!宿題は持って行ったよ!」

「それだけやった?今日がなんの日か知らないの??」

「うーん、、、覚えてない。」

 

ショックだった。

私は一年生の時の国語の授業の「ちいちゃんのかげぼうし」で戦争という言葉を知り、8/6の毎年の平和授業で「はだしのゲン」などを見て、広島原爆、長崎原爆の日が忘れられなくなるほど衝撃的だったのを今でも思い出す。

 

あぁー、こうやって戦争が忘れられて行くんだと感じた。

とても恐ろしいと感じてしまった。

 

いや、いいのかもしれない。

戦争を誰も知らない時代が来るのだろう。

……ホントに?

それでいいのだろうか。

 

「今日はね、日本にある広島ってところに原爆が落とされた日よ。原爆ってわかる?」

「爆弾?」

「そう。大きな大きな爆弾で、世界で唯一、日本にだけそれが落とされたと。広島と長崎にだけ。日本人だけなの。その苦しみ、悲しみを知っているのは。

戦争は絶対にしちゃいけないって、その悲惨さを知っているのよ。日本人は。

だから、絶対に忘れちゃいけない日なのよ。

8月6日は」

 

命と向き合う日が1年に数回ある。

自然災害でもたくさんの命が一瞬で失われた。

先日の西日本豪雨もそうだ。

 

「こないだもひどい雨のせいでたくさんの命がなくなったけど。

地震でもたくさんの人が死んでるね。

知ってるでしょう?」

「うん。怖いー」

「身近な人で誰か死んだことある?

誰かのお葬式に行ったことはある?

死ぬってどういうことかな?」

お葬式に行ったことがあるのは、おじいちゃんが亡くなったと話してくれた、小学生3年の子がひとりだけだった。

「そっか。なら、『死ぬ』ということがよくわかってないかもしれないね。

死ぬとどうなる?」

「えー、、、」

なかなか答えられない。

「死んだら生き返らないよね。

死んだら終わり。

ママが死んじゃったら?

ママにはもう二度と会えないよ。

みんなが死んじゃったら?

ママはたくさんたくさん泣くよ。

死ぬって、絶対に、二度と会えなくなるってことだよ。」

「いやだー!」

「いやだよね。悲しいよね。だから、死んじゃダメ。命を大切にしなきゃいけないってことね。わかる?」

「うん」

「自然災害も戦争も、一瞬で人の命がなくなるのは一緒。

でも、絶対的に違うんだよ。

戦争は、人為的なもので、人が直接起こしていること。

人が人を殺しているということよ。

命を無理矢理奪ってるの。

怖いでしょ?」

「ダメ」

「ダメだよね。

それを絶対に忘れない!って日よ。今日は。

日本人は特に忘れちゃダメ。

原爆を持ってる国がまだあるとよ。

この悲惨なことを現実に起こせる国がまだあると。

でも、それは絶対ダメ!!!って日本人は言えると。

広島と長崎に実際落とされて苦しんでるんやけん。日本だけなんやけん。

だからね、みんなも忘れちゃダメなんだよ。

また学校で習う日が来るから。

しっかり聴いて感じること。

いやだー!気持ち悪い!で終わっちゃダメよ。

自分の思い通りにしたい!と思うのが戦争の始まり。

自分の思い通りにしたいと思うことは悪いことじゃないけど、でもそう思ったら、自分のことだけじゃなくて、相手のことも一緒に考えないとね。

ケンカしてもいい。

ぶつかってもいい。

でも最後は、みんながどうやったらにこにこになれるかを考えてね。

せいこちゃんが、いつも言ってるのはそういうことよ。

命に繋がることだから。

自分のことしか考えなくなったら、戦争が起こるし、地球が怒って巡り巡って自然災害も起きる。

人が死んじゃう。

人だけじゃない。

こないだ金魚さん死んじゃったでしょう?

見たよね?

あの金魚さんの命も、みんなの命と一緒。

命はひとつ。

ひとりに一個。

そのことを感じながら生きて行くと、優しくなれるかもしれないね。

命と向き合う日。

忘れないでね。」

「……うん。」

みんなしっかり聴いていた。

眠いと言っていた年長さんの子も起きてた。

なにか届いただろうか?

忘れてもいいけど、いつかどこかで思い出して欲しい。

 

私の気迫に、娘は怒っているのかと思って何度も顔を覗き込んで茶化そうとしていた。

「怒ってないよ(笑)にこがもう少し大きくなったら、また教えてあげるね。一緒に考えようね」

そう笑ったら、ホッとした顔をした。

最近、暑くて疲れやすいし、イライラもする。

怒りすぎてるかな?

優しくなりたい。

そう娘の顔を見て思った。

今年は、そんな8月6日だった。

 

※写真は託児所での昨日のプール。

あぁー、平和だ。

そんな日がいつまでも続きますように。

そのためにも、忘れちゃいけないことがあるんだろうな。

4件のコメント

聖子さんは幼い子にさえ命についてしっかり言葉を届けられる伝道者!
とにかく、一言でも伝えたくて・・・
今から気合を入れて出かけます。
昨日も出かける日になり、あまりの暑さに一度日陰で座り込んでしまいました。
その時一瞬、ああ、今日は広島原爆の日だった。あの日も熱線と太陽の暑さと重なり合った日だったなと。
学校教育はこの点においても、全国的にきっと温度差は大きいだろうなとこの頃ぼんやり思うようになりました。
それにしても広島は今年は災害とも重なって、本当に県民の皆さんは辛い思いが重なっていらっしゃるはずですね。

みっこさん、ありがとうございます。
そうなんです!
小学生で8月6日がなんの日か知らないなんて!と、、、なんかショックで、衝動的にこれはいかん!と、何か伝えなきゃと思ってしまいました。
戦争を知らないのはいいことかもしれません。
それだけ平和なのかもしれない…。
でも、全く知らないということは、それを繰り返すかもしれないということ。
知って、戦争で苦しんで来た人たちに想いを馳せるのは、私たちのご先祖様たちのことを思うことであり、命のリレーをちゃんと感じることだと思うんですよね。
それを感じれるかどうかで、“今”の生き方が変わるというくらい、大事なことだと思ってます。
学校では教えてくれなくなったのなら、身近な大人が意識して伝えてあげたいことだなと。
広島の方たちに出来ることは少ないけれど、想いだけでも寄り添いたいと思います。

初めまして
とっても考えさせられる投稿をありがとうございます。
私は、旅行だったので、
何も考えず一日バタバタと過ごしてしまいました。
母としてちゃんと引き継がなきゃいけないこと、自分も日々学ばなくては。。

比呂子さん、はじめまして!
私の小学校の時からの大好きな友人と、比呂子って名前が…漢字も一緒でとっても親近感(笑)
大人でも忘れてしまう世の中です。
それでも遠い地では紛争も起きてるし、アメリカは制裁とか言ってるし、どこかで誰かが尊い命を落としているのだと…。
そんな想像が出来なくなったら、やっぱり怖いことなのだと感じます。
世界で唯一、原爆が落とされた被爆国の日本。
そこに生まれた私たち。
命のリレー、どう繋いでいくか、しっかり考えたいですね。

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ABOUT US
齊木聖子
25歳で夜間託児所を開業、10年セカンドママやったのち電撃結婚、出産して念願のファーストママになりました。 セカンドママ業にも限界があると感じる昨今。 違う形で、私の活かし方を考えています。 プロフ写真は娘が撮ってくれました☆