静岡に暮らして36年。毎年欠かさず出かけるのが、67年の歴史を持つ清水七夕まつり。
この日清水商店街と清水銀座には多くの屋台が軒を連ね市内外の人々で賑わいます。
中でもピンク色をした約90㎝もある長い長い麩菓子「さくら棒」が、まちをピンク色に染める光景は圧巻です。
なぜか子どもは長いものに憧れる。
私も子どもの頃はそうでしたし、今まさにうちの子たちがそうです。
屋台で買ったさくら棒、親はそのまま持ち帰りたい!でも子どもは持ちたがる!ふわっとさくっとしているためポキポキと折れてしまいます。
折って食べようとすれば、少しでも長いほうが欲しくてきょうだいゲンカになる。
これも、静岡の家庭では見慣れた光景。姉の私はよくて20㎝、下手したらもっと小さくて…。
なので、駄菓子屋で売っている短く個包装されたタイプのものを、限られたおこづかいで買う日々でした。
そんなさくら棒ですが、お祭りでジャンボさくら棒を見かけなくなって数年。「さくら棒」と命名、長年のれんを守っていた佐藤麩店が後継者難を理由に廃業してしまったのです。
そこで静岡っ子のソウルフードを残したい!と立ち上がったのは、株式会社大黒屋商事の山口毅雄さん。菓子問屋の三代目です。
なんと!クラウドファンディングで集めたお金で工場を移転、立て直し、さくら棒を復活させたのです。
さくら棒存続のため、私もクラウドファンディングに参加・支援させていただきました。
リターンはもちろん、復活したさくら棒でした。
「事業継承の最大のネックはお金。それを現代のテクノロジーを使って解決したかった」と山口さん。
自身も幼い頃からさくら棒に思い入れがありました。
「一消費者として寂しかっただけではなく、取引先の小売店が地元のお菓子がなくなれば差別化が難しくなると困っていたことがアクションにつながった」。
さらには「桜の時期にさくら棒を食べるというムーブメントを起こせたら」と、さくら棒への愛と情熱が止まりません。
静岡の夏の風物詩だったさくら棒が近い将来、静岡の名産品として、日本中のお花見を席巻することを期待しています。
子どもたちが桜の木の下で桜色のさくら棒を頬張る姿…考えただけでウキウキしますね。
株式会社大黒屋商事 製造部責任者
山口 毅雄さん
(お母さん業界新聞 静岡版201809/静岡Storyコーナー)
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