お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

子どもの命を守るお母さんへ  2週間分のストックを習慣に

事務局長 根木佳織さん

災害時の人道支援に関わって19年。
現在は佐賀を拠点に、アジアの支援活動を行う民間・非営利団体アジアパシフィックアライアンス・ジャパン(A-PADジャパン)の事務局長であり、一児の母親でもある根木佳織さんに、子どもの命を守るお母さんたちへ伝えたいことを聞きました。
(マザージャーナリスト・池田彩)

Q.A-PADジャパンについて教えてください

A-PADジャパンは、国内外における大規模災害時の緊急人道支援活動、復興支援活動、防災や減災のための活動などを行う民間・非営利の団体です。
国際機関アジアパシフィックアライアンスの日本法人として、2015年 11月に設立しました。
政府、企業、NGO、国際機関などと協力して、その国だけでは対応しきれないような災害時も、国同士で相互に支援できるしくみをつくっています。
政治的に関係性が難しくても、災害時に国境は関係ありません。
日本発祥の民間の新しい平和安全保障、国際機関です。
また、災害が起こってから対応するだけではなく、寄付を集める、ネットワークをつくるなど、日頃からしくみづくりをしているのも特徴です。 

2017年 8月には新しい医療のプロフェッショナルな捜索救助チーム「空飛ぶ医師団」を発足、
全額融資で専用航空機を導入し災害現場での行方不明者の捜索及び救助を目的とした活動をしています。

空飛ぶ医師団専用機。佐賀空港から各地へ

Q.この仕事に出会ったきっかけは

20歳のときバイクで車と衝突、数十メートル飛ばされるという大事故にあい、長期間入院していました。

自分はなんて不幸なんだと思っていましたが、友だちが持ってきてくれた雑誌に、ボスニア紛争で足を失くした子どもが笑顔で写っているのを見て、何が幸せで何が不幸なのか、わからなくなりました。

とにかくリハビリをして、ここに行ってみようと思い、1年半後、スタディツアーでボスニアを訪れ NGOという仕事と出会いました。
それからは夏休みなど長期休みを利用し、ボランティアやインターンとして出かけていたのですが、コソボで紛争が起こったときに、仕事をしないかと声をかけてもらいました。

大学卒業後は ピースウィンズ・ジャパン(※)に就職し、アフガニスタンに 2年半、その後は紛争後のイラクに派遣され、30代前半までは海外で経験を積みました。

2019年 8月、佐賀県災害対策本部会議に出席

Q.どんな仕事をしていますか?

日本での災害支援は、海外での経験を一旦ゼロにし、さまざまな支援を調整する役割を担っています。

2004年の新潟県中越地震で支援に入りましたが、日本には志のある企業や行政、ボランティア、メディアがある中、調整機能がなく、支援が回っていない現状を知りました。
「避難所が寒く、毛布を必要としています」とメディアが報道すれば、翌日には毛布がたくさん届きます。
しかし、実際は外で山積みになったまま使えなくなっているのが現状でした。
それでいて5分歩けば、体育館で寒いと言っているおばあちゃんがいる。
そんな状況がたくさんありました。

海外では調整機能を国連が果たしてくれていたのですが、日本ではそれがなかったので、私たちが調整役をやらなければと思いました。

2019年 8月、武雄市役所へブルーシートを提供

Q.働く母として大切にしていることは

災害が起こると、私は家にいません。
普段から東京や海外にも出張に行くので、息子と一緒にいる時間は短いのですが、呪文のように「長くいることがすべてではなく、今一緒にいる時間をどう過ごすかが大事だよ」と自分にも息子にも言っています。
2人で過ごすときはその分、息子に集中できるよう工夫しています。

出張時は京都にいる両親がサポートをしてくれているので、息子を京都駅で両親に預けて関空へ向かうこともあります。
お風呂に世界地図を貼っていて、「ここに行ってきたのよ」と話したり、「大きくなったら手伝ってね」と伝えたりしています。

休日に息子さんと吉野ヶ里へ

Q.お母さんたちに伝えたいこと

子どもの命を守れるのはお母さんです。
災害にあう危険性は、日本では当たり前にあります。
2週間分の消耗品をストックする習慣をつけてもらいたいです。

避難所に乳幼児を連れて来られるのは緊急措置で、「これは長くなりそう」と気づいた親は、動ければすぐに親戚の家などに移動されます。
避難所に長居することはありません。
その赤ちゃんに適したオムツやミルクはないからです。
とはいえ、どんなに大きな災害でも2週間あれば道路も開通し店も営業を始めます。
市販の防災グッズも大事ですが、「これがないと困る」というアイテムを自ら考え、2週間旅に出るつもりで普段から揃えておく習慣をつけることが大事です。

ミルクがないから薄くつくるとか、サイズ違いのオムツで我慢するとかではなく、
ストックさえあれば、「うちは大丈夫」という安心感が生まれ、習慣にしておけば、心の準備にもなります。

※ピースウインズ・ジャパン(PWJ)とは、紛争や災害、貧困などの脅威にさらされている人々に対して支援活動を行う NGO。
日本に本部を置き、これまで世界33の国と地域で活動している。

事務局長 根木佳織さん
アジアパシフィックアライアンス・ジャパン(A-PADジャパン)
佐賀市松原 1-3-5ゼロワン佐賀ビル 6F
https://a-padj.org/

A-PADジャパンの活動は皆様からの寄付、主に「佐賀県ふるさと納税」で
成り立っています。応援よろしくお願いします。
●佐賀県ふるさと納税 https://a-padj.org/furusato-lp/

(お母さん業界新聞ちっご版2019年12月号 2面 ちっごのひとびと)

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ABOUT US
安達真依
お母さん大学久留米の事務局長☆あだっちゃんです。 旦那さんの実家に完全同居。 嫁姑問題に立ち向かいながら、同居のいいとこ探します。 元気な9歳11歳13歳の息子3人。親離れを感じ始めています。 #同居嫁、#年の差婚、#男児3人、#不登校、#PTA役員、