「ポップコーンは今年も出ますか?」
毎年出演するイベントでは、問い合わせの電話が鳴る。
「感動する」「元気をもらいます」
彼らのダンスを目当てに来る人がたくさんいるからだ。
1997 年2 月、療育に通っていた子どもたちの縁を切りたくないという、
お母さんの思いで始まったダンスチームも、今年で21 年。
共に歩んできたお母さんたちに話を聞いた。(マザージャーナリスト池田彩)
障害児を中心としたリトミック&ダンスチーム
ポップコーン
問合せ/ 090-4776-1177(時津まり代表)
活動/月2 回(第2・第4 土曜日14 時~)
Q.活動のきっかけは何ですか?
私たちは全員、障害をもっている子どもの母親です。
子どもが就学前、久留米市の幼児教育研究所で行っている「療育」に一緒に通っていた仲間たち。
小学校でバラバラになってしまうのが嫌で、せっかくできた関係をくずさずに、また居場所として、
親子一緒に長く続けていけるものはないか、と考えました。
音楽や身体を動かす楽しみがあれば、どんな年齢の子でも参加できるのではないかと思い、
リトミックやダンスをしようと思い立ちました。
地域のダンススクールでは、障害ゆえに入会を断られたこともありましたが、
縁あって今の先生に巡り合い、安心して継続していけるようになりました。
Q.どんな子どもたちが参加していますか?
ダウン症や自閉症など障害をもっている子どもたちと、その兄弟児がチームメンバーです。
年齢は3 歳~29 歳。26 家族30 名の子どもたちが参加しています。
社会人になっても継続できるのが特徴です。
社会に出て、今を一生懸命に生きているみんなの息抜きの時間でもあり、子ども自身が楽しみにしてくれています。
上の年齢の子どもたちが下の子どもたちを自然とお世話するようになったり、
それぞれの成長をみんなでじっくり見守れることも良さの一つです。
Q.それぞれの成長とは?
4 歳から通っている中村綾花さん(25 歳)は、ずっと3 つ年上のお姉ちゃんにべったりで、
一番後ろの端っこで恥ずかしそうに踊っていました。
でもここ2、3 年、一番前で楽しそうに踊るようになりました。
発表会のたびに先生が、「あやかちゃん、頼むよ」
「前、がんばってくれる?」と声をかけ、自信がついたのでしょう。
心の成長が見てとれました。
1 歳半から参加している永松叶羽ちゃん(4 歳)も、最初の頃は発表会にお母さんと抱っこで出演したり、
お姉ちゃん(小6)の陰に隠れて泣いていたり。
でも去年は、お姉ちゃんと妹(3 歳)と一緒にステージに上がり、笑顔で踊ることができました。
周りのみんなに見守られ、がんばって続けてきたからだと思います。
Q.お母さんたちの支え合いとは?
レッスンの間、子どもを先生にお任せし、お母さんたちは別室や練習の周りでおしゃべりを楽しんでいます。
子どものことはもちろんパートナーのことなど、悩みやグチも話せる大切な仲間たち。
学校や地域のことなど、情報交換の場にもなっています。
何年も動けなかった子が、自分のできる範囲で踊れるようになるなど、
一人ひとりの成長を見て涙ぐむこともしょっちゅう。
子どもにとっても親戚のおばちゃん、おじちゃんのような、大切な一生の仲間です。
Q.長く続いている秘訣を教えてください
講師の先生に恵まれたこと。
リトミックの魚澄昌代先生は福岡市から久留米まで18 年以上も通い、
ダンスの野口千奈美先生も八女市から来てくれています。
また、年に1、2 回の発表の場があることで、メリハリができ、メンバーも毎回楽しみに参加しています。
そのほか、親同士、交流する楽しみがあることや、
代表や会計も順番に回し、運営の負担を減らしていることなどもありますが、
何より、子どもの成長を喜び合える仲間、子どもの居場所がそれぞれにちゃんとあること。
親も子もありのままでいられる場所というのが、一番大きいと思います。
Q.入会したい人は?
ぜひ一度、遊びにいらしてください。
入会金はありません。
月謝は講師への謝金として3000 円。
兄弟児は無料です。
ふらりと来てくださっても大丈夫です。
第2・第4 土曜日の14 時~ 15 時リトミック、15 時~ 15 時半ダンス練習をしています。
会場は久留米市荘島町にある幼児教育研究所の一番奥の部屋。
一緒に体を動かしてみませんか?
(お母さん業界新聞ちっご版Vol.61 2020年3月号 2面 ちっごのひとびと)
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