お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

【MJレポート】令和2年7月豪雨 水害の経験を未来につなげよう!

令和2年7月豪雨が発生。梅雨前線が停滞する影響で猛烈な雨が降り、
7月6日午後4時半に気象庁は、福岡、佐賀、長崎3県に大雨特別警報を発表。
大分県日田市では筑後川が氾濫するなど浸水被害が拡大。
福岡県大牟田市では避難所が周囲の冠水で孤立状態になった。
福岡県久留米市・大牟田市のお母さん・お父さん記者に、
そのときの様子や感じたことを聞いた。(ちっご版編集長・池田彩)

冠水した道路で立ち往生する車(大牟田市)

鳴りやまない緊急速報

7月6日の会議中、スマホの緊急速報があちこちから鳴り響く。
見ると警戒レベル3! すぐに小学校から迎えに来るようにと緊急メールが入った。
仕事をしながらの子育て。ママ友とLINE上で「今から行く? 行ける?」と
互いに状況確認をしている間にもどんどん雨は激しくなる。慌てて仕事を切り上げ、迎えに急ぐ。
学校へ着くと子どもたちは給食中。雨脚が強くなったことで急遽判断された。
食べて帰る子、途中の子、これから食べる子…いろいろだが身の安全が第一。
先生たちも慌ただしく保護者に子どもたちを引き渡す。傘をさしていながらびしょ濡れ状態で帰宅。
みんなはどうしているだろうとの思いがふと頭をよぎる。
その後久留米市は、河川の氾濫や土砂崩れのおそれが高まっているとして、
短時間で「危険な場所から直ちに避難して」の警戒レベル4へ。
市内ほぼ全域12万9952世帯、28万9277人を対象に避難勧告・指示が発令され、
小学校44校区に避難所が開設された。一晩中、猛烈な雨が降り続け、緊急速報が何度も何度も鳴り響いた。

仲間とのやりとりで落ち着く

同じ頃、福岡県の最南に位置する大牟田市では、町の中心部が冠水していた。
「母がコンビニの駐車場から帰れなくなった、どうしたらいい?」と、
同市に住むお母さん記者仲間、安藤裕子さんからグループメッセージが入る。
すぐに「水圧でドアが開かなくなるから、車から降りてコンビニで待たせてもらったほうがいい」
と別のメンバーが進言。「119番がつながらなければ110番にかけてみたら」とリアルなアドバイスも。
「○○さんは大丈夫?」「避難所にいます」「2階に荷物を運んだ」「夫は職場から避難所に行き、今日は帰ってこない」
「こちら停電中!」といった情報のやりとりが夜まで続いた。
「仲間がいることがこれほどありがたく、その存在を心強く感じた夜はない。
特に119番がつながらないときは思考回路がショートしそうだった」と振り返る安藤さん。
パニック寸前だったが、皆とのやりとりで落ち着きを取り戻せたという。

それぞれの夜

3人姉妹(6歳、双子3歳)のお母さん、西山妙佳さんは育休から職場復帰したばかり。
「職場から帰れずに子どもたちと離ればなれの夜を過ごし、不安でいっぱいだった。
子どもたちは母にお願いできたが、いろんな場合の避難行動を家族でシミュレーションしておきたい」と話した。
避難所で3日間を過ごした宮里武行さんは、「一昨年の西日本豪雨で、避難が遅れてしまい車が水没。廃車にしてしまった経験もあり、今年は早目に避難したが、子どもたちが興奮し、周囲に迷惑をかけてしまうのではと気が気ではなかった」と子ども連れでの避難所生活に、改善の余地があると話した。

子どもたちに伝える責任

大牟田市でプレーパークの活動をしている齊木聖子さんは、
「危険察知能力は急には身につかないもの。だからこそ、普段から能力の限界を知ったり、
自ら判断して動く力を養ったりしていく機会として、改めて子どもの外遊びの大切さを感じた」と話す。
佐藤寿枝さんは「九州は水害が多く、これまでも被害にあった方々を見て大変そうと思っていたが、
どこか他人事だった」ことを反省。今回は自身に降りかかり、どれほど怖いものかを実感したという。
「水害も温暖化も人がもたらしたもの。怖いで終わらせるだけではなく、これを機に地球にやさしい
暮らしを選択し、子どもたちにも伝えていくことが、私たち大人の役割ではないか」と、未来へ思いを募らせた。

今も続く復興作業

7月13日現在、今回の豪雨による死者は60名を超え、今も行方不明になっている方、
避難生活を余儀なくされている方々がいる。コロナ禍での避難生活、
復興作業の大変さは想像を絶するものがある。
災害大国に暮らしている私たち。風水害に限らず地震や火災…
いつ何時、何が起きるかわからない事態にどう備え、どう向き合っていくのか。
この記事を残すことで、少しでも役に立てばと思う。

久留米市北野町(写真提供:YNF
大牟田の被災家屋(写真提供:YNF

 今回、写真を提供してくれた「特定非営利法人YNF」は、平成29年九州北部豪雨を受けて設立した災害支援団体。九州は熊本地震以降、平成29年7月九州北部豪雨、平成30年7月豪雨、令和元年8月九州北部豪雨と毎年災害が発生。「被災された方々の生活再建をお手伝いしたい!」という想いから、中長期の支援活動を行っている。
現在も、大牟田市で被災した家庭を1軒1軒回り被災状況に合わせた支援を行いながら、人吉市で活動している団体の後方支援もスタートした。
現在、被災地支援のクラウドファンディングにも挑戦中だ。
被災地や被災者の方々に「寄り添う支援」を引き続き行っていけるよう、
ぜひ皆様からもご支援をよろしくお願いいたします。

●初動時の活動費用の支援をお願いします!
令和2年7月九州豪雨災害支援クラウドファンディング実施中

●子どもたちのオムツが行き届いておらずお母さんたちが困っています!
【熊本県
人吉市】在宅被災者への支援物資・災害ボランティア活動の支援物資
*支援者の方々に、被災者の生活必需品、災害ボラ活動の物資を購入してもらい、届ける仕組みです。

 

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ABOUT US
池田彩お母さん大学福岡支局長
お母さん大学福岡(ちっご)支局長/元お母さん業界新聞ちっご版編集長。長女が1歳の頃にお母さん大学に出会いマザージャーナリストに。ペンを持ったことで視点が変化し、「お母さんになれてよかった!」と心から感じる。久留米で活動をスタートして13年。現在は、久留米市合川町の「松葉荘」で居場所づくりをしながら、九州中のお母さんにお母さん業界新聞を届けようと奮闘中。3児(中3、小6、小2)の母/MJプロ/みそまるマスター/みそソムリエ