常磐音楽舞踊学院の最高顧問であるカレイナニ早川先生は、日本にフラダンスを伝え、広めた第一人者で、フラを愛する者にとっては雲の上の方。
これまでフラ講師として、先生のことを伝えてきた私ですが、今回はMJプロ(お母さん記者)として、夢だった先生へのインタビューが叶いました。
フラだから伝えられるもの、フラから与えられたもの、それは愛。愛に生きることの素晴らしさ、お母さんが笑顔でいることの大切さなどを伺いました。(MJプロ・小林順子)
日本にフラダンスを広めた第一人者
子どもの頃からクラシックバレエをやっていましたが、あるときハワイに行き、フラに出会いました。東京ミュージックボランティア協会に長年属していますが、さまざまな施設でいろんな踊りを披露してきました。中でも皆さんが一番感銘を受けられるのがフラです。お客様の反応から、フラの魅力に気づきました。
1974年12月、ハワイのイリマフラスタジオでアンティ・ルイス・カレイキ姉妹に師事し、ディプロマを修得。このときルイスのお父様からいただいたレイをいつも大切にしてきました。
日本のフラ人口は200万人とも聞きますが、こんなにも親しまれるのは、太平洋に在る島同士、歴史や民族的に共通点があるのではと思います。ハワイの自然を愛する気持ちや古くからさまざまな儀式を伝承してきた文化に、共感するのだと思います。言葉をカタチで表現するところも、日舞によく似ています。
フラダンス指導と映画フラガールのこと
フラの振り付けは、いつもベッドの中で考えます。誰か生徒の一人を思い浮かべ、イメージをふくらませていきます。その子に合った振りはどうだろう、雰囲気は合っているかな…と夢の中で踊らせるのです。その子が踊ることができればみんな踊れます。
人ありきですね。自分一人で進められるものではなく、生徒さんそれぞれを見ることが大事。グループで踊るときに大切なのは協調性。もちろんソロを踊る子は意思が強いくらいでいいのですが、協調性を保つには、忍耐力や努力が必要です。
ステージの上で振りを忘れてしまったら、大きく間違えなさいと言っています。お客さんが「あの人、間違えた人だ!」とわかるくらいに失敗すれば、お客さんはずっとその姿を追い、最後まで踊りきったときには、惜しみない拍手をくれます。それはグループの仲間にとっても大きな拍手となり、迷惑をかけたことにはならないのです。しっかり反省して、大きな声で「ごめんなさい」と謝る。ウジウジするとほかの踊りが全部ダメになってしまいます。
映画「フラガール」には、私の人生が描かれています。フィクションとノンフィクションの部分がありますが、最後のタヒチアンダンスシーンは、私が見ても圧巻です。
これは、私が1997年に振り付けをした踊りです。監督やプロデューサーが映画に取り入れてくれ感動しました。女優さんたちには1日に2~3曲を振り付け、次のレッスンに臨むと全員が完璧に踊れるように仕上げてきましたね。蒼井優さんが足の裏の皮を剥がしながら踊っている姿に、プロとはこういうものかと、感心しましたね。
90年間生きてきて
男性には男性の、女性には女性の良さがありますが、女性はソフトさ。たとえば話し合いの席でも、女性が一人加わると全体の雰囲気がソフトになり、すべてがつながり、流れができていくのです。
私が生きてきた時代は、女性が生きやすい社会とはいえませんでした。けれどもこれからは、女性が歯を食いしばって戦うことも必要かもしれません。本来女性には、守る力がありますが、攻めなければ新しいものは手に入りません。
踊りも同じ。古き良き伝統を大切にしながら、新しいものを生み出していくのです。私はよく演出が型破りといわれますが、それは現状に満足せず、常に攻めていることの表れかもしれません。
90歳になり、これまでを振り返るとフラが一番よかったなと思います。フラには「愛」があります。自然に対しても生き物に対しても。ですからフラを踊ると皆さん顔が変わってきます。生きていくには愛が必要ですから、自分自身がフラを楽しみ、あなたもご一緒にと、愛を伝えたいという気持ちで踊るのです。
お母さんたちへ
フラをきっかけにご家庭に愛が溢れるようになったと話す方も多いですね。子育ては大変ですが、フラで心も体もリフレッシュ。お母さんがフラに出かけるときと、踊って帰ってきたときの表情が違うことに、子どもやご主人が気がつきます。
最初は妻がフラなんて腰ふりダンスをやることに難色を示していたご主人も、次第に応援してくれるように。「今日はこの衣装にしたら?」なんて言い始めたらしめたもの。体も健康になり、心もやさしくなり、そして日本人らしく所作が美しくなります。
フラでお母さんを笑顔にし、乳がんの知識を広めるための「母フラdeピンクリボン」活動(※参照)をしているとお聞きしました。
素晴らしいことですね! 私も応援させていただきます。フラにはその力があるし、たくさんの方に思いが伝わると信じています。必ず、皆さんならできますよ。
私の夢は、皆さんがフラを愛し、楽しい人生を過ごされること。そして皆さんに、ぜひフラをご覧になってほしい。ひまわりのようにビューティフルスマイルで、日本人の美しさをフラを通じて明るく表現してほしいと思っています。
日本のハワイ・スパリゾートハワイアンズでフラガールとともに、お待ちしております。
カレイナニ早川さん
1965年~現在もスパリゾートハワイアンズ(前・常盤ハワイアンセンター)付属の常磐音楽舞踊学院で講師を務める。2014年「横浜市男女共同参画貢献表彰功労大賞」授賞。映画フラガール(シネカノン2006年)のモデルで、松雪泰子が演じて話題に。常磐音楽舞踊学院の最高顧問であるカレイナニ早川先生は、日本にフラダンスを伝え、広めた第一人者で、フラを愛する者にとっては雲の上の方。
『ひまわりのように』
著 カレイナニ早川
双葉社/¥1430
● スパリゾートハワイアンズ
福島県いわき市常磐藤原町蕨平50
ナビダイヤル0570-550-550
1966年オープン。人と人とがコミュニケーションできる場所と時間を創造する「きづなリゾート」をコンセプトに6つのテーマパークからなる温泉施設。詳しくは公式サイトで。https://www.hawaiians.co.jp/
*取材後記*
フラに出会い、夢を見つけてフラの愛で夢を叶える
最重度知的障害で自閉症の息子の介助に、乳がんに罹患し闘病が加わった日々。そんな絶望の中で出会ったフラダンス。私にとってフラは、母として、人として生きる上で大切なことを教えてくれたもの。そして私と息子を笑顔にしてくれたもの。そのフラを、ハワイから日本に伝えたのが、カレイナニ早川先生です。
そんな命の恩人ともいえる先生にインタビューできたことは最上の喜びです。90歳とは思えないほど聡明で美しく、レスポンスの速さと想像を超える回答の数々に感動。どの言葉も深く、愛に溢れ、何度も涙が込み上げました。また所作の美しさには鳥肌が立ちました。
お母さんたちへのメッセージとして「皆さんに輝いてほしい。太陽に向くひまわりのように」と先生。ひまわりの花言葉は「あなたを幸せにします」。たくさんの人に愛と幸せを与え続けるカレイナニ先生は、ひまわりそのものです。
今日を機会に夢が広がりました。フラを通して皆さんの「幸せ充電器」になることです。先生のメッセージを心に刻み、がんばって活動していきたいと思います。
(小林順子)
※「母フラdeピンクリボン」はお母さん大学のフラダンスサークル。フラでお母さんを笑顔にし、乳がんを正しく理解、早期発見の検診啓蒙活動などをしている。希望者はお母さん大学まで。
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