お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

子育ての実感を、取材にも生かす

*どんなお仕事ですか?
福岡市に本社がある日刊新聞『西日本新聞』の新聞記者をして17年目になります。以前は文化部で美術展や作家を取材していましたが、今は久留米総局の記者として、筑後エリアの政治・経済・文化など地域のあらゆることを取材し、記事を書いています。ネタはプレスリリースや設立○周年などタイミング的なもの、自分の日常生活も含めて、アンテナに引っかかったものまでさまざまです。

*仕事のやりがいや楽しさを教えてください
取材という名目で信頼を得て、貴重な話を聞くことができることでしょうか。一生懸命にいろんなことをしている方は、その道の専門家。その言葉や視点は、とても勉強になります。クラウドファンディングの記事を書いたときには、「申し込み方法がわからなかったからと、直接お金を持ってきてくれたよ」と取材先から連絡がありました。書いた記事がアクションのきっかけになったときはうれしいですね。

*仕事に子育ての経験は生きていますか?
出産と子育てを経て、これまで見えてなかったものが見えるようになりました。私自身、不妊治療を経験し、業務の合間に病院へ行くことができましたが、ほかの仕事では難しかったかもしれません。
さらに切迫早産でコロナ禍に入院、娘は低体重で生まれ、NICUに1か月入ったりと、いろんな経験をしたことで解像度がグンと上がった気がします。
待機児童問題にしても、この時期に情報収集をして見学をするなど1年のサイクルがわかるため、困り事の背景にあるものが見えてくるようになりました。
*仕事と家庭の両立はできていますか?
新聞社は基本的には日中に取材をし、夕方までには記事にまとめ、夜に翌日の朝刊がカタチになるのを待つ仕事です。夜勤も休日出勤もあるので、夫と実家の協力体制があってこそ回せています。
夫が前倒し出勤をして、お迎えを担当。ごはんは休日にまとめてつくって冷凍保存。両親と夫とアプリ「みてね」で写真と保育園の連絡帳を写メして共有。連絡帳には、ささいなことも書くようにしています。

*子どもに伝えたいことは?
朝起きたら、目の前に娘の顔があり、にかっと笑う瞬間が好き。言葉はまだですが、言わんとしていることはわかるし、指図も立派にしてきます。子どもという人間は、面白い生き物だなと思います。
小さな命の種から、人間としてコミュニケーションできるようにだんだんとなっていく様をこんなに間近で見られるなんて、なかなかない機会だと思うので、思いきり楽しみたいと思います。
娘には、世界は広く、いろんな人がいることを教えたい。人と比べること、決めつけることはせず、見えている世界がすべてではないと伝えたいです。見えないものを見る目を持ってほしい。物事の背景には何があるのか、本を読んだり人と接したりすることで、考えてほしいと思っています。
取材/池田彩