お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

わたしごと/町の電気屋として 人々の幸せの明かりを灯して 伊藤亜好さん

*どんなお仕事ですか?
岐阜県多治見市で町の電気屋さんをしています。創業54年のパナソニック家電販売店で、夫は2代目です。13年前、先代から夫が引き継ぐときに私も手伝うことになりました。

主に広報、イベント企画、調理家電の実演販売、料理教室。そして「ひまわりスタッフ」と呼ぶ女性スタッフの活動指導をしています。育休中のスタッフもいて、子育て中でも楽しくしっかり働ける職場です。

*仕事のやりがいと、家庭との両立について
主婦の強みを生かして実演販売を担当。日々進化する家電に「良いものでも使いこなせるか心配」「使いこなせないから簡単なものでいい」と言う方が少なくありませんが、便利な調理家電を使うと毎日の家事が楽になります。

お客様には「私を取説と思って」と話し、簡単料理教室「おうちごはん会」を行っています。お客様とのつながりがすべて。「ありがとう」「助かったよ」の言葉がやりがいにつながっています。

生活と仕事の境目はほとんどありません。でも、だからこそ続いているまちの人たちとの信頼関係、それがあって両立できているのだと思えます。

学生時代に美大で学んだデザインやセンスを生かして、店内は電気屋というより「カフェ」のような雰囲気になっています。仕事が楽しいと思えるのは、好きなことが実現できているからかもしれません。

*これからの夢を教えてください
「孤育て」と同じく、「孤食」をなくしたいです。高齢者の一人暮らしは、真っ先に料理が億劫になります。自分も歳をとり、一人になるかもしれません。

そんなとき、料理をしながら食事のできるコミュニティがあって、困り事の相談や、人とふれあうことができたらいいなと思います。あたたかい灯がともる、家のような電気屋をつくることが、私の夢です。

*子育てで大切にしていることは何ですか?
2度の流産を経験。子どもを授かることを諦めた42歳のとき、義母のすすめもあって、養子をもらうことを決意しました。1歳半で乳児院からわが家に来た息子。

その後養子縁組をし、今に至ります。現在も養育里親は続けており、ある時は2歳の子、またある時は中学生が来たりと、その都度暮らし方が変わります。

息子は小学3年生になりました。成長とともに変化する心や環境を楽しむことが大切と考えています。家族はワンチーム。何事も一人で抱えず、「手伝って!」「これやって!」と伝えるようにしています。

*子どもに伝えたいことはありますか?
先日息子が、こんなことを口にしました。「ぼくが大きくなったらお嫁さんと…あ、もらえたらだけど、パパとママみたいに電気屋さんをやるね。

それで子どもができたら一緒に仕事して、電気屋さんをつなげていくね。だから、パパとママも手伝ってね」。
「家族になってくれてありがとう。長生きするね!」と伝えたいです。

(取材/植地宏美)

息子のはづき君とプラモデルづくり

 

 

 

 

 

Work Style▶広報、イベント企画など/1日8時間勤務(うち1時間休憩)/基本9:00〜18:00、定休日水曜・不定休