お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

これは書かずにいられないと思った発表会

日曜日、娘のピアノの発表会でした。

「どんな結果になっても、褒めて褒めて抱きしめてあげよう」

そう思っていた私。

いつもは少し辛口の私がそう思うには、理由がありました。

 

3月上旬、一時保護の子の里子ちゃんを迎えた我が家でしたが。

9/2に正式に長期の委託の里子ちゃんがやって来ました。

2歳の男の子のタローくん(仮名)。

とてもとても酷い、辛い経験をしました。

その子の依頼があったのが6月下旬。

それから、乳児院で面会、交流を何度かして、外出3回、外泊3回を経て、幼稚園の調整もバタバタ済ませて2日の委託を迎えました。

その間、里子ちゃんも我が家も全員コロナに感染。

予定より10日ほど伸びましたが、順調過ぎるくらい早くタローくんも我が家に溶け込んで行きました。

娘はとてもいいお姉さんぶりを発揮。

最初の頃は私よりも娘に懐いていたほど、抱っこやご飯のお世話、一緒にたくさん遊んであげていた娘でした。

それは前の子の時もそうでした。

ただ…。

ピアノのコンクール(コロナ羅患で出場出来なかった)、マロプロジェクト、発表会に向けてピアノの練習をいつもより頑張っていたので、追い込まれた心にいつもの余裕はだんだんなくなって行きました。

委託が9/2に決まると話したくらいからかな。

タローが少しでもイヤと言ったり、泣いたりすると

「いい加減にせんね!あんたのためにしよるやろ!!」と、声を荒げることが何度かありました。

私が抱っこすると、「私がする!」と言ってずっと抱っこでタローを占有しようとしたり、「私が!私が!」と、母を取られるくらいなら自分がお世話すると意地になっているようにも見えました。

タローの依頼を受けて家族に相談した時に、辛い思いをして来たから「みんなで幸せにしてあげたいね」とそう話していた娘。

とても優しい心を持った強い言葉を言ってくれてました。

でもやっぱり余裕のない時には甘えたいのに、甘えられない(と思い込んでいる)現実。

現実逃避して、前ならサッサとやっていた宿題やピアノの練習も“したくない”という気持ちが勝って、なかなか思うように進まない。

それを見て、「いつも言ってるけど、することしてから自分の時間をたっぷり過ごさんね」と注意すると、「わかってる‼️わかってること言わんで‼️」と逆ギレ。

「しなくてもいいんだよ。でもしない結果を考えて自分で考えて決めなんよ。宿題しないまんま学校に行く。発表会も最悪出なくてもいいよ」

と投げると、泣きながら「するもん…」と、辛そうで見ていられなかったです。

 

発表会の1週間前はバンオリンとチェロの先生方と合わせるリハーサルがありました。

その週はタローが2泊3日の外泊を2回していて、七五三の前撮り、プレーパークお泊まり会のキャンプ、プレーパークとかなりハードな1週間でした。

ピアノの練習も毎日していましたが、身が入らずなかなかモチベーションを上げられず、親子連弾は特にボロボロ。

全く合わない。

リハーサルでは、もう聴くに聴けない演奏で、先生方を本当に心配させてしまいました。

「なんとか1週間頑張ります」と伝えるのが精一杯でした。

リハーサルの次の日は川に行ってリフレッシュ。

タローも外は大好きで、はじめての川遊びに大興奮で、娘もとても可愛がって遊んでくれました。

その日にタローが一旦乳児院に帰ったので、それから集中してピアノの練習に親子で励みました。

すると、みるみる合って来て、本番の3日前くらいにやっと、最後までほぼノーミスで弾き終えた時…。

「やった‼️やったね‼️出来たね‼️ママも頑張ったね‼️」

それはそれはもう。

とても嬉しそうで。

私ももちろん嬉しかったけど、それとは比べものにならないくらい、娘は喜びを爆発させていて、ふたりでギューっと何度も抱き合い「本番も頑張ろうね」と誓いました。

 

…ところが。

2日に正式にタローの措置が行われ、委託を受けました。

発表会の2日前。

穏やかに戻りつつあった娘の心がまた乱れ始めました。

タローはとても素直で、スポンジのようになんでもマネして吸収していました。

ずっとこの家にいる…なんてことはまだわからないけど、なんとなく察していたのか、いつもより泣き始めたら長く泣いたり、イヤイヤをたくさん言ったりと、無意識のうちにこちらを試しているようでした。

それを見て、娘はイライラ。

「にこもそうだったよ」と笑いながら話しても、それに笑い返せず「違うもん!」とタローに辛くあたることがありました。

前に来た里子ちゃんの時も、娘が頑張り過ぎての爆発がありましたが、その子はもともと反抗的だったので対等にケンカとして成立していました。

でも、今回は娘が一方的に怒ってタローは泣いている。

タローをかばうと娘は自虐的に自分を責めて責めて泣きじゃくる。

 

「どうしたもんかね…」

同居の義母も深いため息をついてポツリ。

「にことタローの試練ですね。どちらも愛情をもらいたくて必死です。

でも、どちらも乗り換えます。時間が解決してくれると思います。

とりあえず、発表会が終われば好転しますよ」

と話しました。

 

そして、発表会当日の朝…。

娘が飲ませようとしたタローのコップを、タローがイヤと顔をそむけて押し出しました。

「私が飲ませるよ」

「イヤだ!私が飲ませる!!」

「タローにイヤだと言われて、にこが傷つく。大丈夫だから。かーちゃんが飲ませるね。」

スッとその場を離れた娘。

タローに水を飲ませ娘のそばに行くと、目にいっぱいの涙が。

ポロポロ大粒の涙を流しながら

「タローが来てからやん!!こんな気持ちイヤだ!!自分が嫌いだ!!!ピアノも上手に出来ない!!」

大声で叫ぶ娘を抱きしめるしか出来ない私。

一緒に泣く方がまだよかったかもしれないけど、発表会があったのでグッと堪えて娘をただただぎゅっと抱きしめていました。

 

「心が痛いね。辛いねー。頑張ってる証拠。にこがしっかりこの痛みと向き合ってるから、きっと乗り越えられる。

今まででいちばん大変な発表会になったね。

失敗しても止まってもいい。どんな結果でもにこが頑張ってるのは母ちゃん知ってるから。

あぁ、終わったら母ちゃん泣くかもな。」

「えー。ママ泣くのー?」

やっと笑顔になりました。

 

10時からリハーサルでしたが、少し遅れて着きました。

なんと、あんなにボロボロだった連弾。

止まらず、先生方とも合わせられてしっかり弾き切れました。

バイオリンの文子先生からも

「1週間前と全然違う!鳥肌立ちました。」

と言っていただき、もう本番を待たずに泣きそうでした。

 

本番は、娘がソロで少し止まってしまったけれど、ステージ袖から

「タンタンタンタン!」と少し大きめな声で歌うと娘が反応し、そこからはまた立て直して最後までノーミスで弾き切りました。

こちらに戻って来た時の娘は笑顔でした。

アンサンブルのソロは完璧に弾いてさらに笑顔。

親子連弾は、リハーサルの時より母が緊張して間違ったけど止まらず弾けて最後は盛り上がって終われたので、笑顔笑顔でした。

 

こんなに心がかき乱された経験は娘もはじめてだったでしょう。

自分の感情をコントロールするなんて、大人でも難しい。

本当に本当にお疲れ様。

よくがんばりました。

 

今日は台風で学校も幼稚園もお休み。

ふたりは、仲良くケンカしながら笑いあって遊んでいます。

8件のコメント

書いてくれてありがとうー!
自分と一生懸命に向き合ったにこちゃんがスゴイ。
それを横で見ているのもきつかっただろうな。
読んでて涙が出てきた。。
なんか言葉にできないけれど、記事にしてくれたことで共有できること。
すごく大事だ。

あだっちゃーん!
にこの葛藤、いつか笑い話くらいになったら見せようと思うけど。
やっぱり、私は我が子のために新聞書いてるんだなぁーと今回のことでも思った。
誰に読んで欲しいって、立派に成長したにこに読んでもらいたい。
あなたは小さい時から本当によくがんばっていたと。
自信を持ちなさいと伝えたい。
そして、たくさんたくさん愛されていたと。

私も読んでいて涙がでました。
にこちゃんの心の波も、聖子さんの気持ちもとっても伝わって胸がいっぱいになりました。
本当に本当にお疲れ様でした!!!
もうそれ以上の言葉が見つからないくらい、胸いっぱいです。
これからのタローくんとの生活もまた聞かせてもらえると嬉しいです。

比呂子さん、ありがとうございます。
いつも真剣に自分の気持ちを言葉にしてくれるので、気持ちは読み取りやすいです。
でも、もともとお母さん気質の子なので、最初我慢我慢…たくさん我慢しちゃうんですよ。
それで爆発しちゃう。
少しずつガス抜きしてあげたらいいんでしょうけどね。
今度、ふたりだけのデートを楽しめたらと思います

タローは今のところ何の問題もなく、魔の2歳児の通りイヤイヤするする期真っ只中です
にこはそれが許せるほどまだ器が出来上がっておらず
それでもやっぱり、きっとすべてがうまく行くんだと思ってます

これを泣かずにいられましょうか?
子どもたちのお母さんへの想いと互いの想い。胸が痛いです。
それにしても発表会の出来が良くて本当に良かった。みんな大きく成長できましたね。パチパチ

つみさん、ありがとうございます。
ホント、胸がギューっとしますよね。
その時のさなかはとっても辛いんですけど、通り過ぎたら、ものすごい経験値で人生を豊かにしてくれるものなんだろうと思います。
まぁ、わざわざそんな痛み経験しなくても…と思うこともありますが、私の子なんで仕方ないとあきらめてもらおうかな(笑)
発表会は出来としてはまだまだでしたし悔いはのこりますが、タローが来たこと、当日の朝の揺れ具合を含めて考えると満点でした☆

あぁー!泣く!泣く!
記事、楽しみにしてたよ。
あの日ずっと一緒に過ごしながら、
にこやんまた一段とお姉ちゃんになった気がするなぁと思ってたよ。
そんな中のピアノの発表会だったんやね。
タローくんにも初めてがっつり会えて嬉しかったなーー!
にこやん、やっぱりみゆうちゃんとも似てるねー!しっかり自分の気持ちを言えて良かった。
こんな気持ちいややん!って、大声で泣けて良かったね。それを受け止めてくれる母ちゃんで良かったね。
そしてピアノの発表会、にこやんの真剣な眼差しが素晴らしくて。
背筋が綺麗に伸びていて。
自信がみなぎってるように感じたよ。
もちろん演奏もすごく上手だった!
タローくん、すっかり齊木家の子どもだったなーー!髪も!!
たまには、わたしも一緒に子育てさせてね。

ゆーちゃん、発表会ではタローのお世話、にこと遊んでくれたりありがとう☆

にこが袖に帰って来る時のホッとしたエヘって笑顔がたまらなくて。
タローを抱っこして待ってたけど、3人でギューっとしあって笑いあって、朝の涙があった分喜びも倍増だった。

タローの髪とご飯の食べ方を見て、齊木家を選んで生まれて来たんだなと思ったりしたよ(笑)

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ABOUT US
齊木聖子
25歳で夜間託児所を開業、10年セカンドママやったのち電撃結婚、出産して念願のファーストママになりました。 セカンドママ業にも限界があると感じる昨今。 違う形で、私の活かし方を考えています。 プロフ写真は娘が撮ってくれました☆