お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

ささやかな幸せ

お母さん大学の音楽科講師・作曲家の中村守孝先生が主宰する音楽教室の

「大人のための、詩とピアノの発表会」にお招きいただいた。

子どもの発表会ではなく「大人の発表会」は、年に一度の晴れ舞台。

歌は一人2曲。この日のために1年間練習を重ね、

その成果を出すべくステージに立つ。

そこにはドキドキの緊張と同時に、ちょっぴり誇らしげな表情も見え隠れ。

毎年参加しているので、皆さんの成長も垣間見え、

思わず拍手にも力が入る。

会の最後、先生のピアノ演奏に合わせて

「見上げてごらん夜の星を」を、 参加者全員で歌った。

ご存知、坂本九さんの名曲だ。

見上げてごらん夜の星を♪

ぼくらのように名もない星が、

ささやかな幸せを祈っている♪

「ささやかな幸せを」と口ずさんだ時に蘇ったのは、

数日前、北朝鮮がグアムに向けてミサイル射撃を検討しているというニュース。

ミサイルがグアムへ?

グアムには、本紙にも度々登場する、お母さん大学の仲間が暮らしている。

息子がよちよち歩きの頃にお母さん大学に入学し、

子育ての日々にある「ささやかな幸せ」を発信し始めた彼女。

2年前、夫の転勤でグアムに移住してからもなお、その発信は続いている。

そして、そのミサイルは、広島、高知の上空を通過すると知って、

すぐに広島と高知にいる仲間のことが頭を過り、

まるで田舎の母が、離れて暮らす子どもを案じるような気持ちになった。

私たち母親にとって「ささやかな幸せ」とは、いったい何だろう。

国力があっても、子どもたちが笑顔で生きられない国を、

幸せな国とは言い難い。

「これ以上、米国を脅さない方がいい。

世界が見たこともないような炎と怒りに直面することになる」と、

北に警告した、トランプ米大統領。

戦争を経験してきた人たちは、この言葉をどう感じとるのだろう。

わが子を戦争で亡くした人の無念さや、

原爆を経験した人の怒りの炎は、永遠に消えることはないはずだ。
いまだかつて、これほどまで「平和」という言葉を意識したことはない。

すでに平和ではない時代が来ているということなのか。

お母さんにとっての「唯一の願い」は、ただ、ただ、わが子の笑顔。
その、ささやかな幸せを、祈る母でいたい。
その、ささやかな幸せを、守る母でいたい。

お母さん業界新聞vol.111 9月号『百万母力』より/藤本裕子