お母さん大学恒例夏の乾杯イベントは、はじめてのオンライン開催。
全国のお母さんたちがリモートでつながれたのはうれしかった。
コロナ禍で一気にリモート化が進み、
お母さんたちがネット上で自己紹介をしたり、
子育ての悩みや喜びを共感し合ったり…。
ある意味それは、孤育て社会にとっては、”光“かもしれない。
働いている人もリモートワークになったことで、家族の時間が増えた。
国がどんなに育休支援や両立支援をうたっても、
それは一部の優良企業の制度に過ぎず、風土になり得なかった。
だがコロナは一瞬にして、多くの企業に働き方改革を促した。
世の中は、テクノロジーの進化で、めまぐるしい発展を遂げた。
一方で、毎年2万人が自殺する社会。
名前のない人間たちは笑いながら平気で人を傷つける。
見ず知らずの人間に殺される時代など、尋常ではない。
いつから私たちは、人を信頼してはいけないという常識をつくってしまったのか。
コロナは私たちにステイホームを強いて、
人と関わらない生き方を提案しているのだろうか。
いやむしろ、警鐘を鳴らし、新しい生き方を提案しているのだとしか思えない。
リモートで世界の人とつながれているのに、隣人とつながれていない現実…。
密室で幼子が餓死し、老人が独り息絶えても誰も気づかないまちが普通にある。
会いたい人にいつでも会えるのは素晴らしいこと。
だが会いたくても会えない寂しさが、心を耕し、詩を紡ぐ。
リモートは、距離や時間を縮め、地域や教育の格差をなくす素晴らしいツール。
であればなおさら、光があれば影もある。
コロナでワンオペ育児を余儀なくされた人、
苦手なリモート化によって孤立した人もいるだろう。
だがみんな、こんなにも
わが子と長い時間をともにし、しっかりと向き合ったことはないはずだ。
わが子と一緒に歩いた道で出会った、小さな花や虫たちの生きる姿に、
わが子と見た月のあまりの美しさに感動はなかったか。
コロナで苦しむ人やがんばる人を、心から応援したいと思わなかったか…。
時代はますます変革していくだろう。
必死でそれについていこうとすれば無理もある。
だがそんなときは一時立ち止まり、わが子をよく視よう。
そこにはきっと、目に見えない答えがあるにちがいない。
母を感じる秋はもう、すぐそこに。
お母さん、わが子を見つめて、ペンを持ちませんか?
(藤本裕子)
お母さん業界新聞2020年9月号 編集長コラム・百万母力
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