お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

地域がえほん畑になる日

残念ながら、子どもの頃の絵本の思い出というものを、持ち合わせていない私。母は仕事で忙しく、絵本を読み聞かせてもらった記憶は、ほとんどない。たまに私が熱を出すと、母は本屋の店頭にある、くるくる回る絵本棚から、とりあえず私が喜びそうな絵本を買ってくる人だった。

10年以上も前になるが、「きよの絵本劇場」主宰の清野友義氏と出会った。

『じごくのそうべえ』(たじまゆきひこ/童心社)の読み語りを全国で行っていたが、地方公演の朝、脳梗塞で倒れ、車椅子の人となった。だが不自由な体になっても、子どもたちに絵本の素晴らしさを伝えたいという、思いは変わらない。

そんなご縁もあり、孫への読み聞かせ絵本といえば『じごくのそうべえ』だ。お腹の中で暴れる人間たちに、鬼が笑ったり、くしゃみをしたり、おならをしたり。その姿がおかしくて大笑い。孫たちも気に入ってリクエストしてくるため、何度読んだかわからない。本当はもっと、やさしくてかわいらしい絵本を読み聞かせたかったのに…。

昨秋スタートした、お母さん大学の「えほん箱プロジェクト」。お母さんたちが選んだ絵本10冊を
「えほん箱」に入れて、3か月ごとに巡回させる。
初回は、運営に関わっている、子育て共感賃貸住宅「母力」(旭化成ホームズ)24棟に設置した。

「母力」に住むお母さんから、こんなメッセージが届いた。「休みの日一日中、夫は中庭で、子どもたちに絵本を読まされています」と。お父さんには少々お気の毒だが、たくさんの子どもたちと絵本を楽しんだことは、きっと一生の思い出になるだろう。

読み聞かせる相手はわが子に限ったことではなく、今いるところで、いつでも誰でも、誰にでもできる。

子どもの想像力が育つユニークな絵本『キャベツくん』(長新太/文研出版)風に言うと……。
一人住まいの老人が学校帰りの子どもたちに読み聞かせをすると、こうなる。
病院の待合室で看護師さんが読み聞かせをすると、こうなる。
電車の中で誰かが読み聞かせをすると(全員スマホから目を離し)、こうなる…。
気になる方は、ぜひ『キャベツくん』を読んでください。

そこに絵本があって、読んでくれる人がいれば、地域がえほん畑になり、たくさんの花が咲き、笑顔が生るだろう。

さてあなたは、誰に絵本を読み聞かせますか?

お母さん業界新聞2021年1月号 藤本裕子編集長コラム・百万母力

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編集部 青柳 真美お母さん大学本部
お母さん大学事務局兼お母さん業界新聞本部編集部。お母さん業界新聞編集チーフ。みそまるマスター。みそソムリエ。宅地建物取引士。仕事は、お母さんを笑顔にすることと、味噌を伝えること。具体的には、編集・企画・営業・イベント…。家族と仕事以外に、人生に欠かせないもの…車/映画/本/旅/甘いもの。息子(30歳)、孫2人。