お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

コロナとさよならするために

本来なら、みんなで美味しく食べる楽しい給食の時間。だが今は、全員が前を向いて、黙々と食べる。

学校給食で「黙食」が進められて久しく、最近は「黙トレ」「黙浴」「黙乗」「黙煙」と、黙語が氾濫。感染症感染拡大防止のために、今は仕方ない。

だがこの「黙食」、実は、コロナ以前からあった。子ども一人でスマホを見ながらごはんを食べている家庭。数人で飲食店を訪れても、会話をせず、それぞれにスマホを見ながら食べている。若者に限らず夫婦、親子…そのシーンは至る所で見受けられる。

ソーシャルディスタンスの視点から「孤食」スタイルのお店が増加。お店の人との会話も禁じられ、マンションでは住人同士の挨拶もなく、人と関わらない社会が加速しているように思う。

そもそも新型コロナウイルスは、自分さえよければという経済重視の社会の罪過と、私は考えている。

コロナ禍で「黙」を強いるのなら、ただ「黙って食べる」のではなく、「感じたり、考えたりする時間」にしてはどうだろう。

たとえば目の前の給食のこと。今日の味はどう?材料やつくり方は?と食べ物に思いを馳せる。そうすると自然に、給食のおばちゃんや野菜を育てる人のことや食べ物が口に入るまでを想像したり、命に感謝したりすることができる。

コロナが教えてくれたのは、命や健康の大切さだけではないはずだ。

人と関われないことで気づくことや想像すること。当たり前の日常に感謝すること。改めて「沈思黙考」という言葉に思い至る。黙ってじっくりと、物事を深く考えることだ。

スマホの出現で「考えない」ことが習慣になりつつある。覚えなくても、考えなくても、スマホがあれば大丈夫。便利で親切なスマホの功罪を思う。

厚生労働省は、新型コロナウイルス流行による一斉休校などがあった2020年に自殺した小中高校生は479人と発表(前年比140人増)。原因や動機は学業不振、進路の悩みが上位というが…。

SNSとの関わりが動機の一端である子どもも少なくない中、文科省は、自宅で過ごす子どものサポートをと、小中学生一人一台のタブレット整備を進め、SNSを活用した相談体制をつくるという。

こうした支援も、確かに一つ。だが子どもたちが、混沌とした社会を生き抜くためには何が必要か…。

今こそ「沈思黙考」に努めよう。春風とともに、コロナとさよならするために。

お母さん業界新聞2021年3月号 藤本裕子編集長コラム・百万母力

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編集部 青柳 真美お母さん大学本部
お母さん大学事務局兼お母さん業界新聞本部編集部。お母さん業界新聞編集チーフ。みそまるマスター。みそソムリエ。宅地建物取引士。仕事は、お母さんを笑顔にすることと、味噌を伝えること。具体的には、編集・企画・営業・イベント…。家族と仕事以外に、人生に欠かせないもの…車/映画/本/旅/甘いもの。息子(30歳)、孫2人。