横浜みなとみらいの小さなタワーの一角に誕生した「ワーホプレイスとらんたん」。目の前には帆船日本丸と海が、お隣には「旧横浜船渠第2号ドック」を復元して生まれたドックヤードガーデン(ランドマークタワー)がある。
25年前、「天晴れ!元気な夏祭り」を企画し、ここに1000人のお母さんを集めて、夢に乾杯したことも懐かしい。
ちょこんと立っている4本のタワーはまるで灯台のよう。誰が、どんな思いでタワー(灯台)をつくったのか。以前からずっと気になっていた場所。
だがまさか、神に引き寄せられたかのように入居が決まった。コロナ禍で事業が停滞、何ができるか悩んでいたときだからこそ、決断は早かった。
ワーホプレイスとらんたんのワーホとは、WorkとHome。「働く」と「家庭」をつなぐ場だ。もちろん私の中での一番の「働く」は、子どもを産み育てること。人類の永遠のテーマである。
親の虐待や、自らの意志で、命を落とす子どもが、悲しいかな後を絶たない。少子化は変わらず、わずかに生まれ来る命を大切にしていない私たち。
経済重視の世の中と、社会を批判するのは簡単だが、どんなに環境が悪くても、たとえ戦争が起きたとしても、私たちが守るべきはわが子。
自らの胎内に命を宿した日から、「母時間」を過ごすお母さん。子育ては笑顔では済まされず、涙を流す日も多い。それこそが、私たちに与えられた自然=母時間だ。
だが今、その母時間が失われてしまっていることを、どれほどの母親たちが気づいているだろうか。忙しいから、大変だからと、効率優先も仕方ない。けれども一瞬立ち止まって声を聞く。わが子は何と言うのか、わが子が望んでいるものは何か。
お母さんは海、お母さんは港、お母さんは灯台…、永遠に続く、お母さんは○○。お母さんという言葉の意味を、一つひとつ感じてみよう。
「お母さんでよかった」そう思える社会をつくることができるのは、お母さんしかいないはず。凪の日も嵐の日も、ひたすら願うのは、わが子の笑顔。
それが究極のお母さんのワーク(仕事)。まずはお母さんが、わが子を照らす灯台になることだ。
さて、この小さな灯台で、私たちがやる仕事は…。日々子育てに涙するお母さんの心に、そっと明かりを照らすこと。嵐の日も、ロープでつながれば大丈夫。
気づいたら日本中のお母さんたちが、わが子を照らす灯台になっているに違いない。
(藤本裕子)
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