久しぶりに、愛する仲間から突然の電話。
10年以上、音信不通だった。
空白の時間の話を聞いた。
想像以上の日々だった様子。
なにも連絡もしないで、まったく。
でも、生きていたから、いい。
子どもが1人増えていたから、いい。
お母さんでがんばっているから、いい。
藤本さん、本当に大変だったよ~と言うから、
「自分が選んだ道でしょ」と、冷たく返した。
今、介護の仕事をしているという彼女。
今日も、92歳のおばあちゃんの世話をするという。
彼女曰く、この年齢のおばあちゃんはスゴイと。
何が違うかって、肝っ玉が違う。
なぜか…。
きっと、戦争を経験しているからだろう。
生きるか死ぬかの瀬戸際を生きて来た人たちは、違う。。
その人たちの存在が、まもなく消えていってしまう。
だから、今、
その人たちの話を聞いておかないといけないよ、藤本さん。
と言われた。
92歳のおばあちゃんがね、私におむつを替えてもらいながら、
「あんたも子どもがいるんでしょ。早く帰ってあげなさい!」と。
いろいろなことで、心が折れそうになっていた私。
久しぶりの彼女の声に、
なんだか砂漠の中で、蜃気楼を見たような気分に。
とにかく、お母さんしていたから、それでいい。
写真は、氷川丸。
この船に、2年間住んでいた。
船が事務所なんて、夢みたいだったが、
鉄の塊の中で、揺れながら新聞をつくっていた。
あの頃がなつかしい。
彼女の電話で、当時を思い出した。
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