運動会シーズン。娘の小学校の運動会で、所狭しと子どもの活躍を観に来た家族の賑やかな姿を見た時、いきなり胸がギュッとして、涙がこみ上げてきたんです。
「たった1回でも、あの1回があったから私はいいよ」って心の声とともに。
子どもの頃、6歳離れた重度知的障害の自閉症がある兄の運動会と私の運動会が大体いつもかぶっていて、母は兄の運動会を優先せざるを得えず、大好きな運動会に母の顔はありませんでした。
中学も3年になると、母が来ないことは折り込み済みだし、そんなに反応する年頃でもなく…。
私は陸上部だったので、クラス対抗リレーでもスターター。クラスの団結も強く、絶対勝つ一心で、スタートを切りました。
前しか見ていない。と、その瞬間。
「行けーーーーーーー!!!! めぐーーーーーー!!!!!!!」
紛れもない母の声でした。そして全員がゴールし、私も周りを見渡すと、母はいません。
あれ?でも確かに…。優勝した喜びとともに帰宅すると、
「やったじゃない!速かったよ」と、母。私がリレーを走るあの一瞬のために、いてくれたんです。アルバムをめくると、幼稚園の運動会では一緒にいました。でも記憶に残る運動会の母の姿(見えてなくても)は、あれが全て。そう、回数じゃないんです。もっと来て欲しかったかもしれないけど、あの一回が宝物の思い出なんです。かっこいいじゃないですか、母。
そして時が経ち、母と再び、後に「私にはあの一回がある」を作りに、先日北海道旅行へ二人旅をしに行きました。正確には、新婚時に1度、奄美大島で2人旅をしたことはあるけど、もちろん子どもが生まれてからは初めて。
数年間、いつか一緒に行きたいと言い続けていた十勝千年の森。
夏前から母の胃の調子が崩れて、「いつか」が遠のいた感じがしました。だんだん回復してからも、また来年でもいいじゃない。そんなことも言っていました。
でも…でも…お母さん、行こう!!北海道の食を楽しみに行くんじゃない。一緒に広い空のなか、歩こう!
猛スピードで日程を決め、チケットを取って、父や娘の協力を得て。行く!って決めて実行したら、旅にかかった日数はたったの3日間。
「やっほーーー!来たわねぇ。さいっこー!」
母は両手を空に広げて、目をちょっと潤ませて、喜んでくれました。
北海道の空が晴れるように、手紙を添えて、かわいいてるてる坊主を作ってくれた娘の想いも伝わり、朝晩の雨を避けるように、私たちが観光している間は十勝の空は晴れてくれました。
「かしゅちゃんのおかげだね」「いっくんが寮で楽しんでくれてるおかげだね」「とむちゃん(夫)に感謝だね」「お父さんのおかげだね」
ずっと家族の話をしていました。今のこと、昔のこと。お互い、母、妻という同じ立場で労いあったり、笑いあったり。母の大事にしてきた想いを聞いたり。こんな話をしに来たのかもしれません。母は心配を他所に、食べられるものをよく食べて、よく歩いて、最終日は飛行機に乗り遅れそうになる珍道中になりながらも、3日間の行程を楽しんでくれました。
北海道から戻ると、娘が体調を崩したり、息子が寮で疲れたー!と平日突然戻ってきたり、なんだかんだとイレギュラーなことが起こりました。だからあの時、よしっ!と行ってしまってよかったと心から思っています。
今回、素敵な出会いもあり、結局、また行きたいねと話しています。今度は家族みんなで。それが叶ったら嬉しいけど、もしタイミングが合わなくても、私はきっとこう思います。
「あの一回があったから、大丈夫」
これから歳を重ねるごとに、この旅の思い出が重みを増してくる気がします。
お母さん、一緒に行けたね!ありがとう。
運動会の話、感動しました。
お母さんの声は、本当に「あの一回があったから」ですね。
そして、お母さんとの旅。
できそうで、なかなかできないことを、実行したことがスゴイ!
あの一回があったから…、その感性が素敵。
とても感動しました(泣)
母と娘の2人旅、いいですね。
私と母も小さい頃からずっと、2人で沖縄に行くという夢があります。頑張って貯金して早く行きたいな〜と思いました!
素敵な投稿ありがとうございます♡