今日は私がワーキングマザーになりたてだった頃の思い出話を一つしようと思います。
総合病院の主任看護師だった私は、長女を産んだ後、彼女が一歳になる前に職場復帰した。
主任業務は終わりがなく、復帰当日から残業。定時上がりはできず…周りのスタッフは「早くお迎えに行かなくていいの?」と言ってくれるけど、仕事が終わらずに、結局0歳児クラスの娘を迎えに行くのが、園で最後の1人。だったことはザラ。
ワーママとして、どう働けばいいかわからず、眠くてぐずる娘を連れて買い物にも行けず、毎日毎日近所のうどん屋でパパと集合し、食事して帰宅を繰り返していた。
ある日の仕事中、多分難しい顔をしてPCに向かっていた私に、「さとちゃん」と声をかけてくれた同期がいた。
彼女は看護学校時代からの友達で、ずっと同じ部署で働いてきた戦友。先に結婚と出産をし、ワーママの先輩だった。
彼女…よっちゃんは、PCから目を逸らさず「やっほー」とだけ返す私の隣に座って、きつそうじゃん。というようなことを言ってくれた。
「毎日ご飯が作れないんよ。どうしたらいいかわからん。美緒にうどんばっか食べさせてる。」
と私は言った。
彼女はじゃあ私が時短料理を教えちゃるたい!と言って、簡単にできるメニューを教えてくれた。
その時の私の心の中は
「よっちゃん違うんよ。帰れないの。帰宅したら20時になってて、そこから料理なんてできんの。」
と思いながら、器用にできない自分が恥ずかしくて本音を言えずにいた。
数年後、よっちゃんは私と同じ主任に昇格した。きつそうに見える彼女に、わかるよ。一緒に頑張ろう。と心の中で思い、見守っていた。
するといつだっただろう。彼女と話していた時、いきなり〝ごめん〟と謝られたのだ。
「何?なんかあった?」と聞くと
「昔、さとちゃんが〝ご飯が作れん〟って話してくれた時、私メニューを教えてあげるって話さんやった?あれ、ほんとごめん。」
というのだ。
よっちゃんは続けて、
「私は主任の仕事がどんなかも分からんくて、何か的外れなアドバイスしてしまった。今自分が主任になって、あの時のさとちゃんに気持ちが良くわかったんよ。ほんとにごめんね。」
私はその言葉にびっくりして
「覚えててくれたん。いいんよ。なってみんと分からんことはあるやん。大変やろ、今。わかるよ。」
と返した。
私は何気ない会話をしただけと思っていたのに、彼女はちゃんと自分が話したことを、しかも数年も経っているのに覚えていてくれたのだ。彼女は私のことを見ていてくれたんだ。と胸が熱くなった。
その会話から何年も経つが、このことを私はずっと覚えている。きっと彼女も忘れていない。素直に自分の気持ちを、まっすぐまっすぐ伝えてくれたよっちゃんが、素敵すぎて大好きだ。
今はお互い働く場が変わり、なかなか会えない。だけど、ずっと大切な友達だということには変わりない。
そんな中、春過ぎたら会おう!心配しているよ。というメッセージが先日届いた。
彼女も私も、元気に再会できるといいなと今思っている。
今日はそんな私の、ワーママデビュー時代のお話でした。
〜投稿に寄せて〜
本文に編集ができないのでこちらへ。
共感とは簡単なものではない。とこの話を書き考えた。全ての人がピッタリと同じ境遇に当てはまる訳ではなく、全てにおいて心から〝共感〟することは難しい。それでは共感って一体なんだろうか。
看護業界ではこの共感という言葉、耳タコなワードだが、その意味合いは
客観性を保ちながら他人が感じることを自分のこととして感じる(または感じようとする)こと。自分が患者さんの立場だったらどうであろうかと考えながら対応する態度のことをいう。
英語でも共感は「empathy」、共感に似た言葉だと、同情は「sympathy」。empathyは、元々ドイツ語の「einfulung」(感情移入)という言葉から作られたらしい。英語では感情移入も共感も「empathy」
同情の場合、主体は自分自身であるのに対し、共感の場合の主体は相手側。
同じことを経験していないとしても、主体を相手にするとすれば、共感は生まれるのではないか。
「あなたはそう思ってるんだな。あなたの立場に自分がもし立ってみたらこう私は感じるであろう。」とか??
うーん。難しい。
共感について、ちょっとした考察。
さとみ
さとみさん
友達って本当にありがたいですよね。よっちゃんは、
忙しくて大変そうなさとみさんの姿が脳裏にあったからこそ、
同じ立場になって、その時の会話が紐づいて思い出されたんでしょうね。
そんなに謝ることじゃないんだけど、よっちゃんからしたら、もっと
共感したかったなってことだったのかもしれませんね。
そう思うと、共感って時を経てこそ深まるものなんですね。
なんかそういうめぐっていく関係がいいなぁって思いました。
すみません、まとまってないけど!
友達に電話したくなりました♪読ませてくれてありがとうございます。
恵さん
ほんとに。私は友達が少ないのですが、彼女は唯一の深い友達です。共感が時を経て深まる。すごくすごく深いです。お互い大切に想る関係性を築けるのは、相手のおかげだなぁ、と感じています。お友達にお電話してみてください^_^
さとみ