「ママ、新しい傘が欲しいんだけど。
別に壊れたわけじゃないんだけど…」
もごもごしている。
「うん? うん! わかった!」。
もうカエルちゃんが恥ずかしくなったのね。
随分汚れているし、新しい傘、買ってあげよう。
私は幼い頃、言えなかった。
キャラクターのついた服や、派手な色の靴や、子ども用の下着とか。
本当は、もうそんなの身に着けているのが恥ずかしかったけど、
「こういうのではないものを買ってほしい」と、
母親に伝えることもまた恥ずかしかった。
よかった。言ってくれて。
うれしかった。
きっと、あの頃の私も、
素直にそう伝えればよかったんだな。
(お母さん記者/植地宏美)
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