「私たちの町には美術館がありません。美しい砂浜が美術館です」
そう謳うのは、高知県の西にある町、黒潮町。
その美しい砂浜で、「第33回Tシャツアート展」が開かれました。
昨年初めて作品応募をしたのですが今年も娘の絵で作品応募をしていたため、観に行くことに。
(昨年の様子 砂浜を駆け回り、遊びまくってました)
今回の審査員は絵本作家で鳥の巣研究家の鈴木まもるさんです。
会期は10月30日(土)から11月3日まで。介護職の夫は、土日の連休が非常に取得しにくいため、31日(日)、11月1日(月)と月をまたいで休みを取得し、1泊2日で行こうと計画。
が、たまたま10月に手にした最新のちらしで、鈴木まもるさんの講演会が30日土曜日に行われると知りました。30日土曜日は、夫は夜勤明けです。朝9時まで仕事。急いで帰ってきてもらって高知に向かえば、講演開始13時には間に合わなくとも、少し聴けるんじゃない?と思い、「私が運転するから、車のなかで寝てくださぁい!!土曜日に黒潮町、向かおっ!!」と夫に相談。OKをもらったため予定変更。急遽、2泊3日の旅に。
2018年夏、私が暮らす香川県の地元でまもるさんの講演会を聴き、私はまもるさんのファンになりました。そして2019年にも、たまたま上京した際、東京で講演会に参加しています。
まもるさんのお話、非常にいいのです。
2018年の講演会のこと、私はテキストにしていました。今読んでも、ジーンと来ます。
引っ張ります。
8月18日、「子ども文庫まつり」が行われました。絵本作家の鈴木まもるさんが「絵本と鳥の巣の不思議―鳥の巣が教えてくれること」と題し、2時間を超えるお話をしてくださいました。
とにかく鈴木まもるさんのお話が面白かったのです。
お母さんの子宮のなかで守られていた赤ちゃんが、この世に出てくるということはさぞ不安だと思うであろうこと。だからこそ、ひざの上に赤ちゃんを乗せて絵本を読んであげることが「いろんな世界があるんだよ」ということを教えてあげられる時間になる。安心させてあげられる。
これから生きていく自分を知る第一歩だと思う。
安心感を得られる場所が絵本。
そう、絵本には「多様な世界がある」「多様な生き方があっていい」を伝える力がある。
だから絵本は大切なのだと、まもるさんは言います。
教科書に載っている物語は、その一部だからぜひ、実物で全部のストーリーを読んであげてほしい。
(今流行っている)読み聞かせに“利く”絵が大きくてわかりやすい内容の絵本ももちろん良いのだけれど、じっくり“見て”響いてくるような絵本も選んでほしい。情報過多で、不安に駆られることも多い環境。
こうでなきゃいけない、が多い時代。でもそうではなくて、いろんな子がいて、いろんな良さがある。みんな違っていい。
子育ては、余裕をもって、見守っていい。そんなメッセージを送りながら、鳥の巣のお話しへ………
鳥に対して、鳥の巣に対して、様々な疑問が湧いてきたというまもるさん。
鳥の本はたくさんあるけれど、鳥の巣に関する本はなかった。
ついには鳥の巣研究家となり、世界中を旅して、鳥の巣調査へ。鶯がホーホケキョと鳴くのはなぜでしょう。鳥の巣はどうやって作るのでしょう。
そんな疑問を投げかけながら、実際の、いろんな鳥の巣を見せながら、わかりやすくお話は進んでいきます。
“巣”という漢字がなぜこうなったか…のお話にはビックリ!の納得です。
鳥の巣の形は色々あるけれど、お母さんのお腹の形と似ているということを、鈴木さんはとてもわかりやすく説いてくれました。
鳥の進化のこと、人類の進化のこと。“歴史”に思いを馳せることもできました。
ヒナは鳥の巣にいつまでもいては、食べられてしまう。
親鳥が“巣立ちの時”を悟ると、どれほどヒナがエサを求めようとも絶対にエサをあげることはしません。
巣から出てくる時を待っています。
人間の子どもだっていつかは巣立っていく。
それも忘れてはいけません。
やがて、最後のメッセージへ。
自分の好きなことを調べるのが勉強であって、勉強することも「自分らしく生きていくこと」につながればいいと思います。
どの仕事も、「命が育つ」につながっているんです。
鳥の巣も、形や素材もさまざま。
自由に、みなさんらしい“巣”をつくって、楽しく生きてください。
さて、10月30日がやってきました。
夫が予想より早く帰ってきてくれたため、10時前に出発。私が運転手となり、ノンストップで高速を飛ばし、13時前に黒潮町に到着しました。一年ぶりのこの場所。車を降りて、鈴木まもるさんの講演会会場へ向かいます。
人多いかな?と思いきや、ガラリ。
2019年、東京での講演会は満員御礼で講演会場の図書館がギューギューでしたが…。
会期初日だし、講演会があることを知らない人も多いのかな。
というわけで、ものすごくアットホームな空間と人数で講演会が始まりました。
が!!
夫は眠い(当然だよね)。
娘は昨年のTシャツアートのことを思いだしていて一刻も早く砂浜に行って、自分のTシャツを探したい&遊びたい(これも当然だよね)。
「早く行きたい~!!!」
夫は「ごめん。眠いから車で寝てるわ」。
娘をなだめつつ、まもるさんの講演を耳に入れる私。
まもるさんの講演会は、絵を書きながら進んでいきます。
さすがとても絵がお上手なので、お話に引き込まれていきます。
娘に限界が来て、結局50分ほどしか居られなくて残念だったのですけど、その間のまもるさんのメッセージは
比較しなくていい。
その子はその子になるということ。
あたたかい語り口とあたたかい絵に、随分と私は励みをもらったのでした。
よし!Tシャツ探しに行こ~!砂浜で遊ぼ~!!
途中退出は非常に残念でしたが、またの機会に。
少しでも聴けて、本当に良かった!!!
(講演会を後にして、3時間ほど砂浜で遊びました)
まもるさんご自身のブログで後日、次のように綴られていました。
「(審査員依頼のことは)調べると、とても面白い企画なので引き受けたのです。なにか箱ものをつくったり、目先の儲けに走らず、自然と人、個と全体など、多くのことを含みつつ、風にヒラヒラするTシャツの不思議な風景。そのコンセプトが非常に良いと思ったのです」
まもるさんのブログ→ http://blog.livedoor.jp/nestlabo4848/
その後、砂浜でめいっぱい遊び、黒潮町や隣の土佐清水市や270度見渡せる足摺岬…高知の大自然で2泊3日の旅を満喫した私たち。
月曜日は「課外学習」として小学校は欠席したのですが、これでよかった!
なにせ、地球と遊んだ感覚を味わえたのだから…。
帰路「もう一回、砂浜で遊びたい」と娘。
2度目のTシャツひらひら会場へ…
(さらにまたここで1時間以上、遊びました)
3月生まれだし、就学前検査でひっかかり、発達障害の疑いもあった娘のこと。当然ながら?なのか、小学校の勉強にはつまづきました。
足し算も引き算もわかってない~
1学期のテストは56点だの62点だの。
2学期に入り、繰り上がりの足し算も出てきて、もうお手上げ。教えるのにも手を焼いていましたが、10月に入り、ふと気づいたのです。
足し算、理解してきてるじゃない。
夫が作った計算プリント、気づけば全問正解していたのです。
響季は、ひびきになる。
ひびきのペースでいいんだ。
ちゃんと、成長している。
帰宅してから、鈴木まもるさんに娘のTシャツを映した写真とともに、メッセージを送りました。
「この絵は覚えています。(途中省略)お子さんはゆっくりのんびり育っていくから大丈夫ですよ」
との返信を頂きました。
虫の目、鳥の目で、娘を見守っていこう。
大丈夫。
そう、力強く思えた。
本当にいい旅となりました。
なんだか涙がじんわり出てきました。
素敵なお話し、素敵な時間、素敵なイベントの共有ありがとうございます。
わたしも行きたかったー。こんな素敵なイベントがあるなんて。
またあるときは教えてくださいね。
鈴木まもるさんの絵本、私もまたじっくりと読んでみたいと思います。
彩さん コメントありがとうございます☺️
伝わったようで嬉しいです。
鈴木まもるさん、本当に素敵な方です。
よりファンになってしまいました。