お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

母さん

サトウハチローという詩人をもちろん知っていました。

「小さい秋見つけた」
「ひなまつり」
情緒的な詩。心に残るメロディー。

戦後の日本人の心に希望を灯した「リンゴの唄」。

そんなサトウハチローの詩をピアノとバイオリンの生演奏に乗せて歌う、
俳優座プロデュースの、音楽劇「母さん」をみました。

素敵な詩をつくる人の人生、さぞ、あたたかな、感動の場面が紡がれるのだろうと思っていたのですが、
とんでもない。
奔放で破茶滅茶なサトウハチローの姿、父への反抗、
「おかあさん」という母を綴った詩集からは想像できない母への悪態。

どうしてこんなにまで…と思うくらい、母に対する態度は冷たい。
また、母親が不甲斐ないから、父親が愛人をつくり捨てられるんだ、と罵り、
自分の幼い頃の怪我は母親がきちんと見ていなかったからだと責める。

しかしそこには、ハチローの本当の本当の気持ちがあったのです。

親に翻弄された人生、戦争の影と家族の死。
母への愛、母から愛されたかった思い、
詩にすることでしかできなかった、自己表現。

詩や歌の背景。
それを知るだけで、ガラッと歌の印象がかわります。
私はもう、リンゴの唄を涙なしには歌えない人間になってしまいました。

 

この日、実は息子の誕生日でした。
普段から言葉少ない息子ですが、欲しいものは何もないと言い、
友だちと出かけてしまいました。
用意していたプレゼントは的外れだったのか、リボンも解かずにカウンターに置いたまま。

くだらない質問をしたり、
彼の見ているテレビ番組にイチャモンをつけたり、
何回も予定を確認しては忘れてしまったり、
息子から注意されてばかりの私なのですが、

いつか、

ちいさい ちいさい人でした
心もちいさい 人でした
だけど時には 根拠なく
だいじょぶ だいじょぶ と笑ってごまかす人でした

と思い出してくれたら、
母は、それだけでいいなぁ、と思ったのでした。

 

ちいさい ちいさい人でした
ほんとに ちいさい母でした
それより ちいさいぼくでした
おっぱいのんでる ボクでした
かいぐり かいぐり とっとのめ
おつむてんてん いないいないバア

サトウハチロー 「ちいさい母のうた」

 

俳優座劇場プロデュース No.113
「音楽劇 母さん」
作=堀江安夫
演出=横山由和
音楽=新垣  雄

3件のコメント

音楽劇ですか‼︎興味ありますが、観たことないです。サトウハチローさんも唄は知っていましたが、繋がっていませんでした。ネットでいろいろ検索してみました。唄が敗戦後の人々を勇気づけたりと、その時代を映し出しているんだなぁと思いました。今の私たちも同じですね。さて、カウンターに置かれたままの誕生日プレゼントも、息子さんの照れ隠しかなと。親子の関係も時を経る毎に違ったものになると感じています。

お母さんをテーマにしたもの、いろいろあると思うのですが、自分の子育てがどのステージになっても、その時考えることと必ずリンクする部分があるのですよね。だから「お母さん」というだけでつながることが可能なんだなと。思いました。音楽劇、ミュージカル、とでも言い換えましょうか。今度田端さんも一緒にいきましょう〜、舞台とかも大好きです、私。

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植地宏美
お母さん大学横浜支局。 お母さん業界新聞横浜版編集長(2019.10〜2021.12)。 長女21歳、長男17歳、次男15歳。 お母さん大学をものすごく、楽しんでいます。 結果、 お母さんをものすごく、楽しんでいます。