暖かな春の日
父が68歳の人生を終えた
私が成人してからは、破天荒な父についていけず
母も父から去っていき
父の回りからは一人、また一人と身内がいなくなっていった
最後も、一人で旅立っていった
葬儀で、息子娘一同棺の前に集合した
孫たちも初めましてのおじいちゃん
実家までの道すがら、
あんなに呆れ果てて勝手にしなさいと別れた父との
小さな頃の思い出がたくさんたくさん浮かんでは消える
一面の菜の花畑で、家族揃って花摘をした思い出
父に小さな頃連れていってもらった洋食屋
父と農作業した田畑
受験の日乗り遅れた特急を追いかけて先回りしてもらった駅
浮かんでは消える思い出
棺の前で、悲しみより腹立たしい気持ちで涙が出た
本当に自由な人
もっと孫たちに会いに来れば良かったのに
もっと私たちに父親らしくしてくれたら良かったのに
一人寂しく行くなんて、本当にバカね
悔し涙
私は子供たちに、私がしてもらいたかった事をたくさんしたい
こんなに破天荒な父でさえ
私の中にはしっかり
父との楽しかった思い出はあるのだから
私は生きている間、母親として
たくさんたくさん子供たちの記憶に残るような
楽しい思い出を作ってあげないといけない
祖父を知らない私の子供たちには
私の中の幸せな頃の父の思い出を話してあげよう。
薄さんの、お父さんへの愛を感じました。
>棺の前で、悲しみより腹立たしい気持ちで涙が出た
それが、お父さんへの愛です。
きっと、いつか、お父さんの生き方も、いいじゃないと思える日が来ると思いますよ。
上手くコメントが見つからないけれど、
とても深い文章だなと思った。
私も、父に対してはいろんな感情を持っている。
今は元気だけど、
いずれその時が来た時、どういう想いを抱くのか・・・
私は、なんとなくだけど、不器用なお父さんの愛情が感じられるような気がしました。
薄さんの文章から。