「いまさら言われても」

子どものマスク着用について、
厚生労働省と文部科学省から指針が出された。
子どものマスク着用について

「体育や部活、登下校の時は、マスクを外しましょう」
というものだ。

子どもにとっては、熱中症の方が怖い。
ここ最近も、子どもたちが授業中に熱中症になり搬送されるニュースが相次いでいる。

しかし、登校する子どもたちを見ていても、相変わらずみんなマスクをつけている。
先月の運動会でも、暑い中つけていた。

昨日、長男の部活の大会が、学校の校庭であったので見に行ってきた。
しかしそこでも、みんなマスク。

あれ？指針は？

近くにいた校長先生に思い切って聞いてみた。
すると、

「前からずっと、マスクは外していいよ、外しましょうと子どもたちには伝えてるのですが、なかなか外しません。
運動会の時もかなり強めに言ったのですが、外しませんでした。
熱中症の方が怖いから、という話をしても外しません。
同調圧力なのか。
『顔パンツ』になってしまってるのか。
今後さらに暑くなってこれば、外す子も増えてくるかもしれないので、そうなったらみんな外し出すのかもしれませんが･･･」

･･･そうだったのか。
先生たちの指示でも外せないくらい、根深いことになっているのか。

長男は、大会の競技中は外していたが、
みんなで整列する時などはつけていた。

しかし、そもそも、
子どもたちに「外しましょう」と言っている大人たちがみんなつけていたので、
そりゃ子どもたちも外しにくいよなあ、とも思った。

そして今朝のこと、
長男が家を出る時にマスクをしていたので、
「登下校の時はしなくてもいいんでしょ？昨日校長先生にも確認したよ」と言うと、

「いまさらそんなこと言われてもさあ」

え、それは、
今までさんざんマスクつけろと言っておいて今更なんなんだよ、という反発心なのか、
それとも、マスクを外すのが怖いという恐怖心なのか、
どっちの気持ちなの？

「両方だよ。みんなそう思ってるよ」

そう言って、マスクをあごまで下げて登校していった。

大人の責任をものすごく痛感させられた。

確かに最初はみんなわからなくて、感染への恐怖で混乱していた。

大人が混乱している間、
子どもたちは、有無も言わさず大人の言うことに従わされ、
きっと私たちが思っている以上に、いろんなことを制限され、厳しくもされ、
マスクをちゃんとしていないと注意され、消毒しないと注意され、クラスメイトとの交流もあまりできず、
近づくな、話すな･･･

「感染したら怖いからしっかり対策しようね」
と、大人から言われ続けてきた子どもたち。

それが今になって、
「もう大丈夫だから」と言われたところで、
何を信じればよいのか。

テレビではまだ感染者の数を報道しながら、
その次のトピックでは制限緩和の話題を流す。

マスク外してもいいよ、と言ってる横で、
マスクしてないと入店できませんというお店や施設がある。

何が大丈夫なのか？
結局どうしたらよいのか？

･･･さんざん抑えつけといて、今さら何を言うんだ。

マスクを外そうとしない子どもたちの心の中は、
大人への不信感でいっぱいなのではないか。

マスクを外すことに恐怖を感じすぎて、
無理やり外すとパニックを起こしてしまう子もいるという。

マスクを外して顔を全部見せてしまうことが恥ずかしい、と感じる中高生も増えていると聞く。
まさに『顔パンツ』だ。

子どもたちの心と身体を守るために、
私たちはどうしたらいい？

国が指針を出しても、
学校の先生がいくら伝えても、
もはや子どもたちには響かないのだ。

今さらなんなんだよ、と言われてしまったのだ。

幼稚園年中の次男は、そのやりとりを聞いていて、
「ぼくはね、ようちえんでははずしてるよ。
おへやのなかはつけてるけど、おにわではつけてないよ」
と無邪気に笑いながら言った。

本当に大切なのは、これからだ。