この夏休み、都内にある素敵な絵本屋さんに出会った。子どもの用事を待つ間に寄ったそのお店で、宝箱を開けたような気持ちで過ごしていると、一冊の絵本に目が止まった。
『おかあさんのいのり』(武鹿悦子さく 江頭路子え 岩崎書店 2015年)
心の真ん中がすっと静かになるような祈りのイラスト。ページをめくっていくと、母となり、わが子と過ごす何気ない時への喜びが温かく続いていく前半から一転、戦争が子どもたちからそれまでの日常を奪うことへの悲しみ、そして大きくなって幸せになってほしいという思いが切々と描かれていた。全てひらがなだからこそ、伝わる思い。
気がつくと、胸がいっぱいになっていた。あの晩、笑顔で手を振る彼女たちの姿が重なって見えたからだ。お母さんの夢、それは祈りにほかならなかった。
「私の大好きなキーウにある我が家に戻れますように。家の周りのかわいい動物たちに出会い、美味しい苺を味わいながら、私たちの言葉が行き交う日常に。子どもたちを学校へ送り、ゲストを家に招き入れて幸せに笑う日。サイレンもパニックも何もない世界。ウクライナに戻ったら、最初に両親を抱きしめます。そんな日をずっと夢みてます」
「私の大切な願い。子どもたちが健康で幸せで、平和な空の下で家族と再会するのを見たいです。母親として、すべての子どもたちに平和と悲しみがないことを願っています。それぞれの親が自分の翼で子どもを守りましょう。そして、愛と平和と調和のなかで暮らしていますように」
「この夏の日に平和の鳩が良い知らせを持ってすべての家に飛びこみますように。ウクライナの平和、幸福、繁栄を祈ります。太陽が微笑み、鳥が歌う。すべての夢が叶い、その日が平和でありますように」
7月30日「お母さんが夢に乾杯する日」。
ルーマニア北西部クルジュにあるNLP難民支援センター「ドブラハタ(優しさのあるおうち)」に集まってくれたウクライナのお母さんたちのメッセージだ。
ずっとずっと祈っている。異国でわが子を抱きながら。育てながら。日常を大切にし、明るく楽しい雰囲気を作り出す場所で、寄り添って支えてくれる人たちとともに。きっと心細い日や心配がたえない日もあるだろうが、祈りとともに、いま、できることをしている彼女たち。
平和を願う夏。1928年生まれの作者が描いた絵本を開きながら、母たちの変わらぬ思いに触れた。ドブラハタセンターでは、クリスマスに向けた計画も少しずつしているという。侵攻から半年。故郷に戻り、安心した形で両親を抱きしめるという願いが叶うまで、これからどれだけの時間を要するのだろう。
絵本を読みながら、朝ご飯を食べながら、これまで聞いてきた話をわが子たちとしてみた。わからないなりに、少しでも一緒に思いを馳せる時間を持ちたい。つい親子で言い合いをしたり、笑ったり、成長を喜んだり、大波小波を繰り返す我が心の内なる平和も思いながら。
大切に届けてくれた母たちの祈りが一日も早く叶いますように、世界が平和になりますようにと、あの夜手を振り合った笑顔を思い出している。
*WDRAC(一般社団法人戦災復興支援センター)では、生活基盤や心のケア、学習サポートにも取り組むドブラハタセンターや、現地で支援活動をする個人、団体に直接役立てられる寄付を募っている。そのほか情報発信を通して支援を続けている。詳細はこちらから。https://wdrac.org
今も、家族と会えない子どもたちがいて、もしかしたら、痛い思いをしているかもしれなくて、心がザワザワします。
ずっと考えていたら自分がつらくなってしまうけど、本当に何もできないなぁと、平和を願うばかり。
ひろみさん、コメントありがとうございます。
ドブラハタセンターの子どもたちは、サマースクールを楽しんだりできた様子が伝わってきましたが、侵攻から半年も経ち、全体の影響の大きさに心がざわざわしますね。。
何度も同じことしか言えてない…と思いつつ、同じように平和を願いたいです。
つくづく、支えあっての子育てだと思います。