今日

この日を前に『荒地の家族』を読み終えた。
何度も胸がギュッとなりながら読み進めた。

仙台に帰りながら
何年も近づけなかった場所に
ようやく立てたときの違和感。
懐かしい風景とは違うことへの寂しさなのか。横浜の海をあまりにも恋しく思うせいなのか。

笑っている人たちも。
何も語らぬ人たちも。
その胸の奥を私は全然分かっていない。
けれどその奥の手前のところに
ほんの少しだけ触れた気もした。

あの日からしばらくのあいだ残っていた
耳鳴りを今朝は何年ぶりかで感じている。