お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

なぜ、子どもを産まない社会なのか?〜イクシモ勝手に座談会〜

育仕両立イクシモは、旭化成ホームズとお母さん大学が協働で実証実験中の、「育仕両立」をテーマにしたプロジェクトです。
世田谷区にある、オークラランド住宅公園の中にある、ヘーベルハウスの展示場1階にイクシモルームがあり、月曜日と木曜日の週2回、イクシモプログラムを実施しています。

2月20日は、「夢がカタチになる企画・プレゼン講座」でした。
この日、植地が講座を担当しておりまして、参加者はイクシモ会員の髙橋さおりさん。
一通り、プレゼン講座を行い、髙橋さんの思いがいっぱい詰まった企画書をつくるワークを行いました。

髙橋さんの企画書のテーマが「子育て」に関わることでした。
子どもはみんなの宝なのだから、みんなで育てよう、という企画。

講座が終わり、私と、髙橋さんと、イクシモプロジェクトリーダーの岡村さんも交え、
ワークを振り返っていた時に、「なぜ、今、子どもを産まないのか?」という話題になりました。

ここから、私たち3人の座談会が始まりました。

子どもを産んだ、産まない理由、3人の選択

岡村「私は、考えなかったわけではないけど、できればきょうだいがいたらいいなと思ったこともあったけど、今まで来てしまいました。息子には障がいがあるということも、理由の一つにはなるかも。当事者家族は『きょうだい児』という問題も同時に抱えるから、あれこれ言われる人を見聞きもするし、本当の幸せってなんだろうなって考えてしまう」。

髙橋「息子が2人います。そういえば、長男の出産は大変でした。看護師をしていたので、夜勤も経験しているし、赤ちゃんの世話なんてできるだろう、と思っていましたが、自分が母親になると、全然違いました。泣き止まないし、どうしていいかわからない。実は里帰りをしたのですが、あまりにも気が立っていて、母親と喧嘩して1日で帰ってきました(笑)。もともと里帰りしたくなくて、夫と一緒に子育てしたい、でも母が楽しみにしているからと帰った経緯もあり、喧嘩してしまいました。実際には、夫は仕事で帰りが遅く、結局一人ではじめての子育てをしなければならず、辛かった。戻ってくることを想定していなかったので、いろいろなサービスも調べていなかったんです。今、利用したい産後のサービスなのに、事前に登録しておかないと利用できないものがほとんどだったりして、情報も何もなかった。後悔しました」。

植地「私自身も3人きょうだいだったし、きょうだいがいた方がやっぱり何かといいと思ったから。産めるものなら何人でも産んでみたかった。10人兄弟とか羨ましい。でも帝王切開だから3人まで、と決められてしまったので3人ですが。ちなみに順調に産めたわけではなく、夫は子どもは1人でいい、というタイプでした。お金もかかるし、あまり子どもが好きではない、面倒、というタイプ。私は、どうしても3人欲しかったので、懇願しました(笑)」

考察、なんで子どもを産みたいと思うのか?

岡村「私も3人きょうだい。兄が2人ですし、祖父や叔母も一緒に住んでいたからいわゆる大家族でしたが、そこの部分では別に産みたい理由ではないかもしれません」。

植地「岡村さん、もしかして一番年下?ほかにいとこがいないのですね?私の場合は、いとこやはとこもたくさんいて、しかも私が一番年上でした。小学生の頃、生まれたばかりのいとこのオムツを変えさせてもらったり、ミルクをあげたり。遊ぶ時もおんぶしてあげたり。それを自分自身も好きだったし、周りの大人たちが、私のことを褒めてくれました。そういう経験が、たくさん子どもがいたらいいなという気持ちにつながっているのかも」。

髙橋「私も岡村さんと同じ兄2人の、祖父母もいる大家族でした。私は1人目がとても大変だったのですが、2人目を授かりました。アメリカに移住してから実は、夫がとても協力的になりました。仕事は定時で帰ってくるし、収入は日本にいる時よりも低くはなりましたが、ご飯もつくってくれたし、最初の子育ての時とは別人のようでした。この人と結婚してよかったなと心の底から思ったんです。家族の時間がとても幸せで、これなら子ども、4人くらいほしい!と思いました。でも、そのあと日本に戻ることになり、そしたら、夫の働き方は前と同じに戻ってしまいました。仕方ないことはわかっていますが、今は、悩んでいます。この状況では2人の子育てで精一杯なんです」。

岡村「環境は大事かもしれないですね。縦割り保育などもとてもいいのかも。団地暮らしとか、異年齢の子どもたちと遊べる環境。そして何より、お母さんって楽しいよ!って言わないと。私なんて子どもがかわいくてかわいくてたまらないです。ほんとお母さんになってよかったなと思うのですが、でも大声で言えないこともあります」。

植地「お母さん楽しいよ!って言っちゃうと、お父さんもいるぞ!って言われたり反発もありますね。逆に子育てはお母さんだけの仕事じゃないと、お母さんから言われることも…(苦笑)子どもがほしいと思えば授かるわけでもないですし、そのことを聞いて嫌な思いをする人もいるかもしれない。でも、例えば子どもができなかったとしても、やさしい世の中であってほしいですね。私は産まなかったけど、代わりに頼むね!となったら、ちょっとかっこいいと思います」。

子育てしにくい世の中?

髙橋「ときどき、夜に英会話のコミュニティに子どもと一緒に参加するのですが、集まるのはお母さんと子どもばかりで、英会話のためというのはもちろん、子育て中の子どもや親のサードプレイスみたいになっています。私はこれを問題視していて。子育て支援や、ライフ&ワークバランスなど、男女平等に、子育ても夫婦で、のような風潮ではありますが、まだまだ、男性は仕事、家庭と子育ては仕事をしていても女性!というのが現状。パパが仕事で遅いから、少しでも子どもたちが楽しく過ごせて、ママも話し相手がいて、というこの場所が果たして孤立の解決なのでしょうか?子育ての悩みは解決しないものが多くて、女性の負担は減らなくて、少しでも話をしたい、でも行政などに用意された相談先に相談するほど大したものではなくて…という、もどかしい感じが伝わるといいのですが。父親不在のその環境が子どもたちに与える影響は大きいと思います。お父さんがいなくても、お母さんががんばって家のことも学校のこともお世話してくれる家庭で育ったら、大人になっていざ自分が親になったときに、どんな親になるのでしょうか。やっぱり、大半のことは女性がやるべきだ、というお父さんになるのではないかと不安です」。

植地「例えばですが、その英会話の集まりのような場所、子どもたちには積極的に教育していかなければならないと思いますし、お母さんたちがその思考にならないと。教育といっても授業ではなく、例えば下の子にやさしくできたら褒めてあげるとか、よくできたね、と伝えてあげる。慈しみとか思いやりを持って自分より下の子に接することができる子を、親だけではなく、周りにいる大人がみんなで育ててあげる必要がある気がします」。

愛されて育つことが大事かもね

岡村「私、子どもとの触れ合いは少なかったですが、愛されて育ったんです。かわいがってもらえた子どもだと思います。夫も比較的そういう家庭で育ったと思います。だから今、親バカできる夫婦なのかもと思いました」。

髙橋「私もそうです、大家族だったし、かわいがって育ててもらいました。長男出産後に母と喧嘩した話をしましたが、実はそれだって、私は帰るつもりはありませんでしたが、母が周りの方に『娘が里帰りするのよ』ってうれしそうに言っていたのを聞いたからです。兄2人のお嫁さんは出産したら自分の実家に帰るから、私のことを心待ちにしてくれていたのです。幼い頃から、特別に思ってくれているように感じていました」。

少子化を止めるには、お母さんの笑顔じゃん!

植地「結局、今、子育て世代に伝えても、産まないかもですね」。

髙橋「お金じゃないんですよ、少子化を止めるには。家族力が必要な気がしています。お母さん自身が子ども好き、子育て楽しいと思っていたら旦那さんは仕事人間でもなんとかなる、その逆も然り。家族力は、お金があれば手に入るものではないので」。

岡村「家族がバランスが取れていて、うまく歯車が回っていれば大丈夫。誰かと比べるものでもないですし」。

植地「幸せな子ども時代を過ごせたら、もしかして大人になったときに、選択肢などというものがないうちに子どもを持ちたいと自然に思うかもしれないですね。産むか産まないか、そもそもそれって自由なのではないか、とか言い出すこと自体が不自然になったらいいです」。

髙橋「女性の幸福度が高くなると、それができるのかもですね。助産師として産後ケアなどで関わることが多いのですが、子どもへの愛情が深いな、と感じる人は、いつも笑顔だし、辛い悩みなども話してその場に置いて元気に帰る。余裕や元気がないお母さんたちは、そもそも家から出られないんです。お父さんたちには、その現状を知ってもらいたいですね。それは、お母さんたちが笑顔になる近道かも」。

植地「結局、どうすれば子どもを産み育てる社会になるか、というところは、お母さんたちが笑顔になることですね。結論がまとまりすぎて、キレイすぎる…」。

髙橋「先日、お母さん大学の藤本さんが話してくれたことが頭から離れないんです。『大変なことがいっぱいあるし、悩みもある、子どものことも夫婦関係も。だけど、一歩家から出て、ベビーカーを押すときは、胸を張って、笑顔で歩いてほしい』って。本当にそうだと思います。私たち、お母さん楽しいよ!って言いながら歩く!」

岡村「出産したこと、私、すごいことした!って思ってます!私ってすごい!って思っています!堂々と言うようにしましょう。少子化対策ですから」。


イクシモで、3人の普通のお母さんが、本気で少子化問題について話した時間、悪くなかったです。
実は、いつも、自然にこのような話をしています。
考えているのです。
このような内容を書くと、「子どもを愛せているのだろうか?」「私はダメなお母さんなのではないか?」と思う方がいるかもしれない、と思います。
自分で判断しないでほしいなと思います。
誰かに聞いてください。
イクシモでは、絶対に問いかけてくれたあなたを笑顔にします。全力で。
「愛されている」、と感じる度合いも一人ひとり違います。
お父さんたちにも、お母さんでよかった、と心の底から感じている人の話を聞いてほしいです。

少子化問題を考えたら、育仕両立に大事なことが見えてきました。
何より必要なことの一つは、働き方です。
在宅やフレキシブルな働き方。一回パートに戻ってもまた正社員に戻れるなど。
もし、それが制度を変えるのが大変なら、理解してもらえる人、支えてくれる人がいることです。

考えることが、改革の第一歩。私たちは、もうすでに歩き始めています。
勝手にイクシモ座談会、本日は終了です!


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イクシモは旭化成ホームズ×お母さん大学が実験中の協働事業です。

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講座も全て実証実験中のため、無料です。

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