御祭神は宇迦之御魂神、豊臣秀吉の弟・秀長が郡山の鎮守としてお祀り、江戸時代に洞泉寺町へ遷座。五穀豊穣・商売繁盛、源九郎という白狐を祀っている神社です。地元では「げんくろうはん」と親しまれ、現在は石上神宮(桜井市)に奉職されていた小嶋靖久氏が宮司で、神事以外は私が総代として管理しています。
文楽や歌舞伎の演目で人気の「義経千本桜」に登場する源九郎狐ゆかりの神社として、多くの歌舞伎役者が、公演の成功・安全祈願にお詣りされます。
昭和のはじめに始まった「白狐渡御」は戦時中などの中断を経て1979年に復活。私は立ち上げから45年関わってきました。地域でお祭りを仕切るのは総代の役目。郡山南小学校の3年生を体育館やこちらに招いて稽古します。
コロナ禍で5年ぶりに開催した3月の大和郡山お城まつりでは「コンコンチキチコンチキチ」白狐囃子に合わせ、奉納舞踊した人たち、時代行列、お囃子さんも含め、当社から郡山城跡まで300人の大行列が練り歩きました。白狐の面としっぽをつけ、法被を着た子ども150人の白狐渡御が一番の盛り上がりでした。
民話「げんくろうさん」や、わらべうた「やまとのやまとのげんくろうはん」が有名で、学校帰りの子どもたちが遊んだり宿題をしたり。参拝の仕方を教えると、親ごさんが感心するほどしっかりした作法を披露。「いつもうちの子がお世話になっています」と声をかけられ、ここで神社を守り続けることの大切さを実感します。地域の高齢者や故郷を離れた人もお祭りへの思い出は大きく、誰もが元気になる。子どもにも故郷の思い出をつくり、げんくろうはんの由緒や歴史を教えてあげたいと思っています。
自然もあり、子どもが安心して遊べる場所。澄んだ空気が流れるええ場所やと思います。神社は皆さんに開放しているのでどっからでもいつでもお詣りください。神さんは心の中にあるもの。癒されにどうぞ。
(取材/宇賀佐智子)
源九郎稲荷神社
奈良県大和郡山市洞泉寺町15
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。