お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

穏やかであたたかなお産

妊娠7週目まで助産院で出産するなんて夢にも思っていなかった。

病院から助産院に転院したきっかけはいくつかある。

37歳での初産、人生で一度きりかもしれないイベントを夫と共有したいと考えていた。また、会陰切開は非常に痛そうで避けたかった。その両方を達成できるのが助産院だった。

『オニババ化する女たち』(三砂ちづる著/光文社刊)を読んだことも大きかった。

出産という太古の昔から続いてきた生物の営みを、医療機関以外で行えるのは、先進国では日本とオランダだけと知った。日本古来の知恵が生きる助産院での出産に振り切るのも面白いかもしれない、と興味が湧いた。

だが布団の上で出産するのが想像できなかった。ひとまず助産院とはどんな世界なのか夫と見に行くことにした。

国定由美子先生と話し出産する部屋を見学、「ここなら産める気がする」と、しっくりきてしまった。それは夫も同じだった。

直感は当たっていた。夜中に陣痛が始まり、明け方に助産院に到着。

それから出産するまでの数時間、助産師さんが交代で腰や背中をさすってくれた。「ありがとうございます」と繰り返しながら出産したのを、よく覚えている。

出産は物理的な痛み半分、精神的な恐怖感半分。誰かが常に側にいてケアしてくれている、そのあたたかさの中で出産し、もはや出産の記憶は痛みより心地よさになっている。

医療行為を介入させずに産む体験により、自分の体を以前より信じられるようになった。病室ではなく布団の上で、家族と助産師さんと、穏やかに新たな命を迎える喜びを味わうことができて幸せだった。

第二子の出産は、もはや助産院一択だった。こんな変化に自分でも驚いている。私のように助産院を自ら選択できる幸運な妊婦さんが一人でも増えればと願う。

産婦・亀山マリエ

くにさだ助産院(岡山県笠岡市新賀3310)