お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

露天風呂で星に願いを

地方に行くと、必ず立ち寄る温泉。今回は熊本の菊池温泉が舞台。満点の星が降り注ぐ露天風呂の中での出来事だ。

先客は、私より少し年上かなと思う女性。「どっから来らしたとですか?」と尋ねられ、「横浜からです」と答えると、遠くからようこそ、と歓迎してくれた。しばらく美しい星を見上げ、湯の中でほっこりしていると、おばあちゃんは、こんな話をし始めた。

「こんまえUFОば、見たったい。4階建てぐらいの箱んごたるかっこうだったたい。横からびゃって来て、縦の方に消えて行ったばい」。私は思わず空を見上げ、おっきなUFОがいないかと探した。

宇宙といえば、前号で紹介した『定年後ヒーロー』

(みらいパブリッシング)の著者で、元国連職員の萩原孝一さんとの出会い以来、なんだか宇宙づいている私。とうとう宇宙人かぁと、ほくそ笑んだ。

夜空を見上げつつ、やがておばあちゃんの話は、まちのお困り事へ。なんでも、阿蘇の山肌に巨大なソーラーパネルができたそうで。その様子は、まるで宇宙から来たロボットたちに、まちを支配されてしまったようでとても怖い。自分はもう先が短いからいいけれど、孫たちの未来を思うと胸が騒ぐ。美しく雄大な阿蘇の景観が損なわれるだけでなく、豊かな水源へも影響し、ただごとではないのだと。

小さなまちの一人のおばあちゃんが、宇宙の星たちを眺めながら、未来を案じている。経済の豊かさと引き換えに、自然を破壊してよいのだろうか。
宇宙レベルで考えると、本末転倒もいいとこだ。萩原さんは、ある日、「Save the Earth(地球を救え)」という天からの声が聞こえたという。残念ながら、私にはスピリチャルな感性はなく、耳を澄ましてみたが、どこからも声は聞こえない。だがずっと心に残っていた、中国人の知り合いに聞いた話とつながった。

中国のどこかのまちには昔から、政治家や権力者、警察よりも強い、正義の味方のおばあちゃんたちがいて、まちの小さなトラブルから大きな社会課題まで、どんなことにも勇敢に立ち向かい、解決してしまうのだそう。
萩原さん曰く、定年したおじさんたちは、無意識か意識的かわからないが、萩原さんの本を滅多に手に取らないのだという。でも、もしおばあちゃんたちが萩原さんの本を読み、美しい星を眺めたら、わが子の未来を案じ、何かせずにはいられなくなりそうだ。

美しい日本、美しい地球を守るために「おばあちゃんヒーロー」の出番がやってくるかもしれない。なんだか、いろいろなことがシンクロする旅だった。「Take action(行動せよ)」と、自分に声をかけた。
(藤本裕子)

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