お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

3人も育てているお母さんには ご褒美をあげなくちゃ

熊本県水俣市にある老舗和菓子屋「柳家本舗」の長男として生まれ、幼少期はやんちゃな子どもだった。13歳で初めてウクレレを手にし、それ以来、ほぼ独学で奏法を身につけてきた。

終戦後に横浜へ移住し、伯父が経営する福祉施設で5年間修行。その後、塗装業界に入り独立した。仕事の合間にプロのステージを見ては奏法や技術を吸収し、試行錯誤を繰り返しながら自分のスタイルを確立していった。ストロークの基本は手首を使い、リズムに乗せること。ウクレレはリズム楽器であり、いきなりメロディを弾こうとするのは違うのだ。

「コロヘ今村&レイキングス」を1993年に結成以来、2015年まで、ハワイ・ホノルルのウクレレフェスティバルに毎年出演した。現地のフラダンサーから「コロへ(わんぱく坊主)」のニックネームをもらい、演奏家としても「コロへ今村」を名乗るようになった。

横浜・関内ホールでのコンサートは26回を数え、毎回著名なゲストを迎えながら大勢の観客を魅了してきた。現在もウクレレ教室を続け、後進を育てつつ、ウクレレやハワイアン音楽の楽しさを伝えている。

「与えなさい。それがすべてだ」は、長年大切にしてきた言葉。ギブアンドテイクではなくギブアンドギブ。誰かに何かを与えることこそが、自分の喜びにつながると信じている。

2021年の夏、お母さん大学のイベント「お母さんが夢に乾杯する日」のテーマがハワイだったことから、「お母さん業界新聞」と出会った。この世の中で、子育てこそが最も大切な事業であると深く共感し、「新聞売れてるか?がんばれよ」と、いつも気にかけている。

お袋と妻への感謝を、一日たりとも忘れたことはない。昨年、人生を共に歩んできた最愛の妻が先に天国へ旅立った。寂しさはあるが、妻のおかげで楽しく幸せな人生を送ることができたと、今は感謝の気持ちでいっぱいだ。今ほど子育てを一緒にする時代ではなかったが、家族を何よりも大切にしてきた。

町で3人の子どもを連れたお母さんを見かけると、「これは偉いなぁ」と、つい1000円を渡してしまう。最初は驚かれるが、「子どもにおやつを買いなさい」と伝えると、笑顔で受け取ってもらえる。

「お母さんはすごいんだよ」と、心からのエールを送っているのだ。

「ウクレレが上手くなりたいのなら、大事なのはレッスンじゃなくて〝ヌッスン〟だ。私の指をじっと見て盗みなさい。かっこよく弾くんだよ」。これは、人生にも通じる教えである。

「生涯青春」。この言葉を胸に、今日もウクレレを片手に、人生を奏で続ける。

(文・植地宏美)

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