5年生は授業で「いのちの学習」をします。
「いのちの学習」とは、自分が生まれたときのことや、
そのときの気持ちを家族に聞いたり、
実際に保健師さんを呼んで、
妊婦体験や赤ちゃんを抱っこしたりするものです。
これから心も体も大人へと成長し、
将来親になるであろう子どもたち。
この時期に貴重な体験になるでしょう。
寝る前にプリントを持ってきて、
面倒臭そうに聞いてきた長男。
「オレの生まれたときのこと何かある? どう思った?」。
私の話を適当にカットし、
あり得ないくらい簡単な言葉に直して殴り書き。
生まれてきてくれた感動をあんなに伝えたのに、
書いたのは「うれしかった」だけ。
おかしくて、もういいやって思ったときに思い出した。
ちょっと待って!
取り出したのは、母子手帳。
パラパラめくって、やっぱりそうだ。
「ごめん、さんちゃん、生まれたとき、呼吸が上手にできなくて、
泣き声が出なくて、すぐ保育器に入ったんだよ。
翌日には出られたけど、
抱っこできない寂しさとこれからの不安でいっぱいだった」。
今はこんなに生意気で、
家にいる時間のほうが短いほど遊び回り、
元気で笑っているから忘れてた。
ああ、なんてこと。
それからなんとなく、
子どもたち3人の母子手帳を見比べ、
じっくり読んでみました。
私のお腹がふくらむ段階のことや、
3人目の予防接種のサボり具合など。
「いのちの学習」は、子どもたちのためだけではないのですね。
大きくなった子どもとの日々の中で忘れかけていた、
生まれてきたときの感動を、
もう一度思い出すためのものですね。
健康に育ってくれることだけを祈る、
そんな母親になった原点に還してくれる、
親のための「復習」なのですね。
植地宏美/横浜市
(お母さん業界新聞201804/MJコーナー)
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