誰もが幸せな産後を迎えるために産後ケア文化を当たり前に。
自身も19 歳、17 歳、5 歳の3 人のお母さんであり、福岡市でお母さんたちを応援し続けている、産前産後サポート事業「てのひらのゆりかご」代表・門谷 舞さんに産後ケアの大切さを聞きました。
産前産後家事サポート「てのひらのゆりかご」
代表 門谷 舞(かどたに まい)さん
090-8405-4570
info@tenoyuri.jp
Q.産後ケアとはどういう仕事ですか?
心身の負担が大きくなる周産期の女性のお宅に訪問し、
寄り添いながら料理や掃除、洗濯、時には赤ちゃんのお世話をすることで、
安心して産後、養生できる環境を整える仕事です。
依頼の7 割は料理ですが、2時間で約10 品目を目標に冷蔵庫の中にあるものでつくります。
産後はとても大切な時期なのに、休むことができない方がたくさんいます。
私たちが家事代行をすることで、命をかけて産み出したわが子にゆったり向き合える、
幸せな時間を提供できたらと思っています。
Q.活動のきっかけは何ですか?
私自身、33 歳で3 人目を出産したあと、全く動くことができませんでした。
幸い、夫や親のサポートを受けて、眠ることとおっぱいをあげることだけに集中し、
休むことができました。すると心も体も楽になっていくのを実感したのです。
しかし、今の日本ではワンオペ育児の家庭は珍しくなく、
悲しいことに産後うつを発症し、自ら死を選んでしまうお母さんもいます。
「産後、身体を休ませることができれば、心身ともにすごく楽になる」と
伝えていきたいと思っていたところ、
4 か月健診で周りにいた赤ちゃんを見て「どの子もすごくかわいい」と感じ、
赤ちゃんとお母さんに貢献できることを仕事にしようと思いました。
Q.子どもの頃のことを教えてください
私が生まれ育った家庭は、父親の暴力がひどく、とても窮屈でした。
ですが、「いつかはよくなる。あきらめない」と常に思っていました。
中学に入ると母にきつく当たる父に殺意さえ生まれましたが、
「自分で自分の人生をよくする。こんな父に自分の人生を台無しにはさせない」と思いとどまりました。
高1 で夫と出会い、高校卒業後の冬に妊娠し結婚。
その2 年半後に2 人目を出産しました。夫と出会い、家族をつくることができ、
「家庭ってこんなに安心できるんだ」とようやく知ることができました。
お母さんたちを守りたい、幸せな家庭を大切にしてもらいたいという思いは、
子どもの頃の体験もあると思います。
Q.子育てで大切にしていることは?
子ども自身に、考えてやらせることです。
17 歳の長女が小学5 年生の頃、友だちの家に行くからと
休日にお弁当をつくってと言われたのですが、「休みの日までお弁当をつくりたくない」と断ったところ、
自分でつくっていくようになりました。
今では、お兄ちゃんの分までつくってくれています。
私がやらない選択をしたことで、子どもが自分で考えて動くようになりました。
私のほうが学ばされた出来事です。
Q.夢や目標はありますか?
日本の文化である、産後ケアを復活させたいです。
日本にはもともと産婆さんがいて、出産後は毎日のように家に来てくれていたのです。
日常的に、親戚や地域の人たちがお互いさまで助け合う文化もありましたが、
現代は核家族化が進み、孤育て社会になってしまいました。
先日、進化生物学者の長谷川眞理子さんの話を聞く機会がありました。
チンパンジーは子どもが5 歳になり一人前になってから次の子どもを産むそうです。
でも、人間は上の子どもがまだ赤ちゃんのうちから次の子どもを出産することができます。
これは、周囲とコミュニケーションをとり、
助け合いながら子育てをするしくみがあるからこそで。その環境がない今、
孤育てに不安を覚え、産後うつになってしまうのも無理はありません。
お隣の韓国には「産後調理院」という産後養生する専門の施設がありますし、
中国でも30 日間休息をとることが当たり前です。
誰もが何かしらのケアを受け、ゆっくりと産後の養生ができる
「産後ケア文化」を復活させたいと思っています。
産前・産後サポーターの養成講座も随時開催しています。
ご興味のある方、ご連絡お待ちしております。
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