お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

【The Company】触媒で地球とクルマをつなぐ、株式会社キャタラー

お母さん業界新聞編集長・藤本裕子の
子育て応援企業TOPインタビュー「The Company 」

今回排ガス浄化触媒(以下触媒)をはじめ、
次世代車の実用化に貢献するための先進的な製品の開発・製造を行い、
グローバル企業として地球の環境保全に貢献するキャタラーは
昨年、品質経営を評価され、世界で30数社しか獲得していないデミング賞大賞を受賞。
砂川博明社長に、同社の取り組みや女子社員の働き方について聞いた。

株式会社キャタラー
代表取締役社長
 砂川博明さん(すなかわ・ひろあき)

1980年トヨタ自動車工業入社、2008年トヨタ自動車品質保証部部長、
2010年同社お客様品質部部長等を経て2012年から現職。

排ガス規制への
あくなき挑戦を続けて

1967年、高度成長期の真っただ中、キャタラーは産声を上げました。車や工場から出る大気汚染物質が光化学スモッグの発生や大気汚染を引き起こすことで、人々の健康を脅かし自然環境に悪影響を与えるとして、排ガス規制が敷かれました。以来52年間、有害物質を無害化する「触媒」の研究開発に挑み続け、その技術と実績は世界に認められるまでになりました。

自動車の触媒は車体下にあるパーツ、つまり目に見えない存在です。キャタラーとは「キャタリストcatalyst(触媒)をつくる人」という意味を込めた造語ですが、社名にピンとこない方もいらっしゃると思いますので、静岡県掛川市にキャタラーという会社があることを知り、キャタラーを好きになっていただければと思っています。

このまちが好きだから
感謝の気持ちを込めて

社員の大半は地元出身の人間です。このまちで生まれ育った人が、あるいは一時的にまちを離れた人が戻ってきて、生涯ここで幸せに暮らすために地元に根差した企業でありたいと願っています。

代表的な活動の一つ、天竜浜名湖鉄道「キャタライナー」(化学に触れる学びのトレイン)は、子どもたちの理科嫌いをなくしたいとして運行中。将来掛川からノーベル化学賞が生まれたら…。

そしてもう一つ、掛川から金メダリストを出すという夢に向かって、アルペンスノーボードの日本チャンピオン、若干16歳の三木つばき選手を応援しています。スポーツを通じた地域貢献活動の一環として、皆様と一緒に盛り上げていけたらと思います。

子どもの頃の環境、
経験や体験が今に生きる

父は物理学者で大学教授。自宅の公務員宿舎には大阪大、京都大、神戸大の先生が大勢住んでいました。湯川秀樹さんや朝永振一郎さんがノーベル賞を受賞し物理学が注目されていた時代で、大人たちが白熱した議論をぶつけ合う光景が普通にありました。当時は子ども心に理屈の世界は嫌だなぁと思ったものですが、何かしら影響を受けていたのかもしれません。

公立の小中学校に通っていた頃は、ほとんど勉強もせずに毎日外で遊んでいるような子どもでした。おもちゃもなかった時代ですから、ビー玉一つでもみんなでルールを考えたり工夫したりと、楽しさの中に学びがありましたね。

母には毎日のように叱られていましたし、父もがんこで厳しい人でした。「巨人の星」の星一徹のように卓袱台をひっくり返したり、学校の先生は物差しで叩いたり…。しつけが重んじられていた時代です。今にして思えば、こうした経験や体験がものづくりや人としての原点になっているのかもしれません。

女性活躍推進と
働き方改革に注力

子育てや教育、会社でいう社員の育て方も変わってきましたね。求めるのは、自分の意見をはっきり言える人、周囲と協調しオープンなコミュニケーションがとれる人、好奇心や完遂力も大切です。

社員数は約1000人。うち女性は約200人。事務職の多くは女性ですが、製造や技術職を担う女性もいます。

「お母さん社員」も多く、産前産後休暇に加え最大2年間の育児休暇、小3までの短時間勤務制度などを活用し、育児と仕事のバランスをとりながら職場復帰しています。

さらには女性社員で構成された社内ワーキンググループ「つぼみ」が企画する、イクボス養成研修や女性社員のリーダー研修などを通して社員の育成と活躍を支援、女性活躍推進に向け、日々活発な議論がされています。

困っていることは何か、やりたいことは何かなどの声を大切にし、女性だけではなく、社員一人ひとりが望む働き方を考え、実現しています。

育児休暇取得率、復帰率ともに100%。女性が働き続け、活躍するためのカギはワーク・ライフ・バランスの実現です。労使の信頼関係を大切にいきいきと働ける会社を目指しています。(人事部)

1児の母でもある私は「子どもへの愛」と「やりがいのある仕事」が育児と仕事を両立するモチベーションになっています。リーダー研修では「自分らしく」という社長の言葉が印象的でした。(製造技術部)

デミング賞大賞受賞と
キャタラーの特徴的な活動

昨年、キャタラーは「デミング賞大賞」(日本科学技術連盟)を受賞しました。業務の標準化や問題の再発防止といったTQM(Total Quality Management=総合的品質管理)など、日々の品質経営の取り組みで優れた成果を上げた企業に授与される賞です。

また一昨年は、掛川市とシティプロモーションの推進に向けて包括協定を締結し、環境保全・教育・まちづくりなどの活動を展開しています。

太平洋沿岸に位置する当社は2014年から海岸防災林強化事業「掛川モデル」を開始、13㍍の津波に耐えられる防潮堤をつくりました。

国や県と協働で地域の防災活動にも積極的に取り組んでいます。

お母さんの力を家庭でも
社会でも生かしてほしい

「持続的成功」を目指して歩み続けること。働く人々に幸せをもたらせる会社であり続けたいですね。卒業文集に「大きくなったらキャタラーで働きたい」と書いてくれる子どもが現れたら本望です。

日々子どもとご主人を携え家庭を支えているお母さんは家庭のリーダーです。その有能な力を社会でも発揮しマルチタスクで活躍していただきたい。ひいてはそれがご自身の生きる価値やエネルギーとなるでしょう。

仕事も子育ても同じ、「三歩進んで二歩下がる」ではなく「三歩進んで二歩進む」の精神で。お父さん、お母さんがそれぞれの経験を無駄にせず、しっかりと子どもに伝えることができれば、素晴らしいことだと思います。

▲「お母さん業界新聞」を手に、子どもの頃の話を聞かせてくれた砂川社長

広大な敷地を持つキャタラー本社▼

DATA
●株式会社キャタラー
静岡県掛川市千浜7800 TEL0537-72-3131
https://www.cataler.co.jp/

*取材を終えて*

インタビュー当日、満面の笑みで私たちを迎えてくださった砂川社長。はじめて見て触った「触媒」が、私たちの環境を守ってくれていることに感動!
「SDGs」のワードが氾濫する昨今ですが、キャタラーという会社そのものが、未来のために在る。「ものづくりも子育ても愛がなければ…」という私の言葉に頷く社長は、経営者であると同時に社員のお父さんであることを実感。深い掛川愛も本物ですね。(藤本裕子)

*耳より情報*

11月16日(土)には、浜名湖畔にある遊園地浜名湖パルパルで「WAKUWAKU理科教室 in 浜名湖パルパル」というイベントが行われます。「原子カードゲーム」を使った楽しいゲームで、カードや文房具がもらえちゃう。30種類以上のアトラクションで、家族で一日満喫できるパルパルへ、GO!
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26件のコメント

理科や化学とは無縁の生活をしてると思ってましたが、
私たちの日々の生活は、こうした会社の技術に守られているんですね。
直接関わらない企業さんの話を聞くのって、楽しいです。

宇賀さん、そうなんです。
私たち、毎日、お世話になっていたんです。
見えないものに、大切なものがあるって、ホントですね。
わが子が育つ地域にどんな会社があって、どんなモノを、なぜつくっているのか、
母親として知ることも大事ですね。

育児休暇を取得して子育てをした経験があります。
制度としてきちんとしていても、周りの方に申し訳ない気持ちになったり、休んでいる間には自分の仕事復帰時に感じるであろう不安を想像したり。
お母さんにそう思わせない。
十分子育てをして、それからお母さんの力を生かしてほしいなんて、言われたら、一生懸命子育てを楽しむでしょう。
そして、絶対に、会社のために、一生懸命働きます!

そうなんですよね。うちも三回、気持ちよく♪育休取らせてもらって、今はその恩返しの気持ちで仕事しています。育休という制度があるだけでもダメ。育休を取れれば良いってもんでもないんですよね。そういう環境作りには、やっぱりトップの力がとっても必要。

植地さん、育休の経験があるんですね?
育休って、そもそも、仕事を休むということではなく、
育児を通して、母力、父力、人間力をつける研修期間みたいなものですよね。
キャタラーさんは、育児休暇取得率、復帰率ともに100%。
スゴイ会社だと思います。

化学に触れる学びのトレイン「キャタラー」に息子とぜひ乗ってみたいです!
料理も化学と言われますが、生活していく中で化学を意識できる時はあまりありません。
日常の町の中にとけこんでいるキャタラーが素敵です!!

とっても広い敷地にウロウロしてしまいましたが、その敷地の広さよりもっともっと広い心の社長さんでした。
そんな社長さんのもとで働いている社員さんは、皆さんキラキラ輝いていて、素敵だなぁと感じました。
世の中にはまだまだブラックな会社が多いですが、全ての会社がキャタラーさんのようになれば、笑顔が溢れる日本になるんだろうなぁと思いました。

お母さん業界新聞社さんでは バッサリとカットされていた私の写真を
キャタラーさんは ちゃんと載せてくださっていて 嬉しかったです♪
あの顔は 「こんな会社で働きたいなぁ」「いい会社だなぁ」という気持ちから自然と出た表情だと思います。

ごめんなさい、田村さん。同行したんだもんね。
だって、たくさんいいお話聞いたけど、1Pで、まとめるの、大変だったのよ。
それに、田村さん、大きいし(笑)
そうか、田村さん、大型免許も持っているし、
もしかしたら、社長に「働きたい」と言うチャンスだったかもね!
でも、1000人のキャタラーの社員の皆さんに、田村さんのあの笑顔をインプットしたはず。
笑顔のお母さん記者だって。それが、お母さん大学の売りだからね!!

宇賀さん
大型も、大型二種も、大型特殊も、フォークリフトも 免許持ってますよ(笑)
どれも使っていませんが…

田村さん!大型免許??広島の岡本さんはフォークリフト持ってたけど、カッコイイ!
働くクルマに乗る女性の姿も見てみたいです。

育児休暇取得率、復帰率ともに100%、
当たり前にしなければいけない事とはいえ、
素晴らしい実績でいらっしゃるのですね。
育休中に、復帰することを不安に思わせないためには、
制度と共に職場の雰囲気が不可欠かと思います。

>女性だけではなく、社員一人ひとりが望む働き方を考え、実現しています。

それが実現されている証が、この数字に表れているのですね。

科学や技術が日本を支えてくれている。
イコール、私の子どもも支えてもらっている。
『ものづくりも、子育ても、愛がなければ』
大きく頷きました!

困っていることは何か、やりたいことは何かなどの声を大切にし、女性だけではなく、社員一人ひとりが望む働き方を考え、実現しています。

↓どうやって1000人のそれぞれの立場や業種の社員の声を集めていらっしゃるんだろう。。。うちも、今、アンケート調査を社員にしているけど、なかなか回答率が低くて(-∀-`; )回答したところで、どうせ変わらないって思われてるんかなぁ。。

うちの社長を育ててもらえないかしら←って、私、どこから物を言ってる?(笑)富士山の上から言ってる?(笑)

私もパートですが先月から仕事をし始め、ライフワークバランスの大切さを感じてきます。
家庭を持つと、独身のように仕事一直線ではもうできない現実があります。
職場探しをする際にも重点を置いたのも、そこでした!
社長さんがしっかりとそこを大切にされている会社は、会社全体が子育て中のお母さん社員にも理解があるように思います。
そういった現場の雰囲気が、会社全体をあたたかい雰囲気にしていくんでしょうね(^ ^)

私も現在育休中、4月復帰の予定でいます。
2年後長男が小学校に上がったら、
また働き方を考えないといけなくなります。
小3まで時短勤務は、働く女性としても、母としても充実するんだろうなぁと思いました。
また、3歩進んで2歩下がる我が家の毎日の積み重ねに、悩む日々でしたが、3歩進んで2歩進む!の精神が心に響きました。気持ちが前向きになりますね!キャタラーさんのこの精神を私も家で心掛けようと思います!!

うちも同じ状況です!2年後。。また先だけどすぐ来る2年後。。なーんか、どうしよかなーと引っ掛かりますよね。うちは、いまからの二年で、小学3年生まで時短勤務できる制度、時間休制度、夏休み1ヶ月休業制度を入れられないか、奮闘中で、早速次のプロジェクト会議でキャタラーさんのことを、摸本事例として紹介したいと思っています。

岸さん。子どもを育てるって、本当に大変ですよね。
でも、その苦労が、経験が、私たちを成長させてくれています。
3歩進んで、2歩進んで、
そこで、お母さんは、エイヤーと、ジャンプする。
わが子が、その姿を見ていますよ。

学びのトレイン、「キャタライナー」
私もいつか息子達と乗りに行きたいです。
自然災害が多く発生する今こそ、環境を守るために取り組まれている事について知る必要があるのかも知れませんね。

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ABOUT US
編集部 青柳 真美お母さん大学本部
お母さん大学事務局兼お母さん業界新聞本部編集部。お母さん業界新聞編集チーフ。みそまるマスター。みそソムリエ。宅地建物取引士。仕事は、お母さんを笑顔にすることと、味噌を伝えること。具体的には、編集・企画・営業・イベント…。家族と仕事以外に、人生に欠かせないもの…車/映画/本/旅/甘いもの。息子(30歳)、孫2人。