お母さん業界新聞ちっご版では、農業と飲食業、就労支援を通して、
子どもたちの未来をつくる「おなか元気グループ」の仲間たちを毎月紹介しています。
第3回目の2020年1月号では、
元校長先生でもあり、久留米市バスケットボール協会理事長の伊藤正博さんに、現在、中学校で行われている「職場体験」の仕組みづくりがどのようにして始まったのか、聞いてきました。
「職場体験」の仕組みづくりを 地元企業と学校で連携
職場体験のはじまりは、25年前のこと。
久留米市立江南中学校の教頭だった伊藤正博さんのもとに、地元企業の社長が訪ねてきた。
「企業は儲かることしか考えていないと思っていたので、なぜ来たのかと不信に思った」。
しかし、おなか元気グループの社長、白仁田裕二さんの言葉が今でも忘れられない。
「企業には社員がいて、社員には家庭があり、子どもがいる。子どものために、できることはないか」。
この日から企業と学校の連携がスタートした。
働く大人の姿にふれる機会をつくれば将来の夢が広がるのでは。
また、仕事をする上で大切な人間関係を学んでもらうため、生徒一人ひとりが、直接働く人と接する機会をつくれないか…。
大手企業をはじめ飲食店やスーパーなどの協力を得て、3年生150人全員に、別々の職場を準備した。
「体験を終えた生徒は、挨拶の声が大きい。よい経験ができた証拠」と振り返る。
今でこそ当たり前の「職場体験」だが、当時は全国どこにも実施例はなく、教員研究会でレポート発表したところ、問い合わせが殺到した。
今では久留米市内すべての公立中学校が職場体験学習を実施している。
教職を離れた今も、久留米市バスケットボール協会理事長として、子どもの育成に携わる伊藤さん。
その傍ら、かつての「不登校の子どもたちが抱える将来の不安に、何もアドバイスができなかった」という悔しさから今も、筑後若者サポートステーション(サポステ)を学校に知ってもらう取り組みを行っている。
「サポステは画期的な取り組みだ。中学生でも見学ができ、進路の一つになる。知っておくことで、気持ちが楽になる生徒がいると思う」熱い思いが続いている。
(文・池田彩)
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