貸し借り
三宅直(大阪市)
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私は「イクメン」と呼ばれるような模範的なパパからはほど遠い存在である。
3人の小さな子どもがいるが、仕事の帰りが遅いので、ほとんどの家事は妻に任せきり。
ごみ出しと、たまに息子を幼稚園に送ったり、妻が寝落ちしたときに
ポイント稼ぎで洗い物や洗濯をしたりするくらいのものだ。
たまの土日は、最近ハマっているゴルフに行きたい!
ようやくスコアが100を切り始め、さらに上手くなるために、
育児そっちのけで練習にも行きたい。
なぜ私がこれを書いているのかも疑問だ。
大好きなゴルフに行くために何をすべきかを、
職場で使う「貸し借り」という言葉を引用し説明したい。
取引先とやりとりする上で、「貸し」をつくっておけば、
その分、別の案件や何か問題があったときに返してくれる。
まずは「貸し」をつくることに専念することで、自身の信用も高まり、
「借り」も大目に見てもらえる。
この理論を家庭に導入するとこうだ。
関係値のあるママ友の子どもと息子たちを連れ出して、
夏は市民プールへ、冬は家から離れた大規模公園へ出かける。
子どもたちの安全さえ気にしておけば、私は妻やママ友に気を遣うことなく
オフの時間を過ごせるし、妻とママ友は自由な時間を得られる。
近所にある銭湯に連れていけば、お風呂に入れる手間が省かれる。
子どもの面倒を見たお礼は必要ない。
「実は、来週の土曜はゴルフに行くので、その日は
うちの妻と子どもと一緒に過ごしてもらっていいですか?」。
「それくらいお安い御用」と、笑顔でゴルフに送り出されるのである。
なんと自分勝手な、と感じる方も多いだろう。
一応、こんな奔放な夫を許してくれている妻やママ友には、
感謝の気持ちを持ち続けている。
(お母さん業界新聞大阪版2021年10月号掲載)
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