子どもの頃、母は病弱でいつも寝込んでいた。だが私が出かけるときは必ず、笑顔で見送ってくれた。イタズラをして父に叱られているときも必ず、母は「笑って! お前はすごい子だよ」と誉めてくれた。
元々柔道家だった私。大学にも実業団にも行かずに町道場で稽古を続け、全日本選抜体重別柔道選手権3連覇、世界柔道選手権大会3位。異例で変わり者だが、家族も変わっていた。
大会の応援には来ない、優勝の祝勝会もしない。だが神棚には手を合わせ、試合の日は必ず、笑顔で見送ってくれた。「おめでとう」の言葉はかけてくれた。
プロレスの世界に転じ、新人で団体を辞めたときも、理由も聞かず、「お前は大文夫!」と笑顔を見せてくれた。
今も現役でさまざまなことに挑戦できるのは、娘を信じ、応援し続けてくれた母のおかげ。母の笑顔と言葉が、限界を超える強い力になっている。
虐待のニュースにふれるたび、辛い気持ちになってしまうのは私だけではないだろう。母親の笑顔と言葉が、子どもの人生を変えていけることを、たくさんの人に気づいてほしいと願う!
その後すっかり元気になった母だが91歳になる今は膝を傷め、歩行困難となってしまい施設へ。それでも変わらないのは、会えば必ず、いい歳の私に向かって、誉めて見送ってくれること。もちろんいつものあの笑顔で。
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