3年前、大きな産声を上げ生まれてきた次男。顔を見てすぐに胸騒ぎがした。
数時間後、赤ちゃんだけ大きな病院に搬送され、NICUに入院。4週間後の退院時、T21(ダウン症)と診断された。
障害者施設で働いていた私たち夫婦、わが子が障害をもって生まれてくるとは思ってもいなかった。
それからは懸命な日々だった。長男にはどう伝える? 療育はいつからどこで? この子にしてあげられることは何だろう?
ダウン症の子を背負い、どう暮らしていくのか…。
彼の世界を広げるために必死だったが、そうではないことに気づいた。彼が私たちの世界を広げてくれているのだ。
療育やダウン症の会で出会ったママ友とは、家族ぐるみでバーベキューをするほど仲良くなった。
何でも話せる深いつながりは、とてもありがたい。長男も同じ境遇のきょうだい児同士、話が合うようだ。
夫は次男が生まれた年に就農。とっても甘いトマトを育てながら、将来は、障害を持った人たちが集えるような場所にしたいと考えている。
成長がゆっくりな次男のおかげで、長男のことも含め、すべては当たり前ではなく、奇跡なのだと感じるように。
目まぐるしい毎日だが、普通に暮らしている。この一日一日が、これ以上ない幸せな時間だと感じる。
(一木里絵)
お母さん業界新聞ちっご版3月号 そのまんま家族
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