学校が休校となり、一緒に家で過ごす時間が増えた3人子どもたち。
だが、会話は少なめだ。みんな反抗期真っ只中である。
この時期になると思い出す。
ずっとワーキングマザーだった私。
なかなか一人ずつとの時間を作ってあげられなかったが、あるとき真ん中の長男と二人きりで出かける機会があった。
彼が小学校に入る直前のことだった。
桜木町に出かけ、観覧車に乗ったり、お菓子を買ってあげたり。普段は入らないようなレストランに入り、一緒にハンバーグを食べた。
しかし彼にとってはきょうだいと一緒にいるのが当たり前。思いのほか楽しそうではなかった。
その子の性格をしっかり見ずに過ごしていた、私の自己満足だったなぁと笑ってしまう。
帰り道、手をつないで駅まで歩いた。
電車のドアが開き、乗り込もうとしたとき、彼は電車とホームの隙間にストンと足を踏み外した。
反射的につないだ手をギュッと引っ張ったので下までは落ちず、胸のところで引っかかった。
周りの方にも助けてもらい、何事もなかったかのように電車は走り出した。
私はものすごくドキドキしていた。
そんなことも彼は覚えていないのだろうか。
長男と手をつないで歩いたのは、あれが最後だったかも。
タウンニュース神奈川区版2020年4月16日号掲載記事
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