薬師丸ひろ子 ハート・デリバリー(2021.1.3)
今週は心の叫び、つぶやきなど母親たちが自分のために記事を書く
「お母さん業界新聞」を立ち上げた女性を紹介する。
14:40
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こんな新聞はいかがでしょうか?
今日は「お母さん業界新聞」というおはなしです。
私はこれまでドラマの中でいろんな母親の役を演じてきました。
時には夫や子どもとぶつかり、
時にはやさしい眼差しで誰かを守り、
泣いたり笑ったり
「母親」という役割を体験してきました。
詩人のサトウハチローさんの詩の中にこんな一説があります。
「母」という字を書いてごらんなさい。
やさしいように見えて難しい字です。
かっこうのとれない字です。
まさにそのとおり。
ここに母親という役の難しさがあります。
元、キャビンアテンダントの藤本裕子さんが3人の子育てをしながら
お母さん仲間と新聞を出したのは1990年、30年前のことでした。
子育ては毎日の発見の繰り返しで、楽しいことでしたが
心のどこかにある社会からの疎外感をぬぐいきれなかった、と言います。
「私はここにいる」という心の叫びをカタチにしたら新聞が生まれた。
その新聞は子育てがテーマでしたが
子育てのノウハウの情報紙ではなかったと言います。
主役はあくまでもお母さん。
お母さんがペンを持ち自分のために自分のための記事を書く。
約束は肩書を一切つけないこと。
紙面にはお母さんたちの素直な心のつぶやきや
ささやかなエピソードが所狭しと並び
どの記事もそれぞれの輝きを放っていたと言います。
創刊号の発行部数は500部。
ミニコミ誌全盛の時代に、お母さんたちの新聞は受け入れられ
順調に部数を伸ばし、そして30年を迎えた今、15万部に達しています。
藤本さんは2008年にお母さん大学を立ち上げ、お母さんたちに寄り添い続けてきました。
本部事務局の青柳真美さんはこんなエピソードを話してくれました。
ベートーヴェンの生誕地、ドイツのボンで結成された
ベートーヴェンオーケストラボンが来日したときのことです。
クラッシックコンサートが開かれるのは夜、演奏者たちは昼は暇。
こんな話を耳にした藤本さんは
母と子のクラッシックコンサートを企画しました。
子どもたちに何としても電子音ではない本物の楽器の音色を聞かせたかったのだと言います。
「そんなの無理だよ~!」と言う予想に反して
全国から集まった親子は1000人。
ところが泣き叫ぶ赤ん坊、ぐずる子ども、駆け回る子ども、
それを止めようと叱ったりなだめたりするお母さんの声で
場内は大変な騒ぎだったと言います。
開会の挨拶に立った藤本さんはこう言ったそうです。
「どうかお母さんたち、赤ちゃんを静かにさせたいなら
おっぱいをあげながら聞かせてあげてください」。
ドイツの演奏家は口々に言ったそうです。
「世界中回っているけど、こんなコンサートは初めてだ!これは世界一のコンサートだ!」。
この度のコロナ禍の中、お母さん大学は
「コロナ禍を生きる母たちの記録マザーリポート
1205人のアンケート報告と35人のお母さんの手記」をまとめました。
驚いたことに、どのお母さんも愚痴や弱音を吐いていません。
背筋をすっと伸ばし、明日の方を見つめようとしているのです。
まさに、母は強し。
♪田園♪
SNSを中心に発信されている記事や写真、WEB頁の情報は
みんなどこかきらびやかです。
せんじつまるところ、
それは「買いました」「行きました」「食べました」という
大自慢大会である場合も少なくないようです。
さもなくば、誰かを攻撃したり、批判している書き込みなど
残念ながらそれがネット社会の特徴の一つのようです。
救いを求めてネットを開いたのに、かえってイライラしたりざわついた気分になり
傷ついてしまう
こんなネット社会の危険さをお母さん大学本部事務局の青柳真美さんは指摘してくださいました。
まさにおっしゃるとおりだと思います。
ちなみにお母さん業界新聞のキャッチフレーズは
「お母さんの笑顔を伝える情報紙」だそうです。
お送りした曲は先ほど皆さんにお話しました
ベートーヴェンオーケストラボン、が演奏した曲はですね、交響曲第6番「田園」から。
これを皆さんにも聞いていただきました。
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